立川志の輔師匠の落語をコミカライズ! 映画も好評上映中『大河への道』

日本の伝統芸能で、老若男女問わず楽しめるものといえば「落語」です。いわゆる人気落語家とされる方は何人もいますが、その中でもチケットを取りにくい落語家の一人と言われるのが今回ご紹介する立川志の輔師匠です。

師匠は数多くの新作落語を創作・口演していることでも知られており、その中のひとつに「大河への道〜伊能忠敬物語〜」があります。今回ご紹介する『大河への道』は、この新作落語を原作として柴崎侑弘先生が漫画化した作品です。本作は3月に文庫化(河出文庫)、5月20日からは中井貴一さん主演で映画が上演されています。

舞台は、現代の千葉県香取市と江戸時代の日本。主人公は香取市役所の総務課主任・池本保治です。物語は観光課の地域振興策で発言を求められた際に「大河ドラマを誘致するのはどうか?」と提案するところから始まります。

県知事が指名した脚本家に最初は拒否されますが、伊能忠敬記念館などを見せることで少しずつ興味を持つようになります。しかし、そのときに意外な事実に直面します。一方、1818年の江戸でも大変なことが起こっていたのです。

本作は、大河ドラマが暗礁に乗り上げようとするさまを描く現代喜劇と、伊能忠敬の「大日本沿海輿地全図」をめぐる謎を描く時代劇を融合させた作品となっています。

筆者は落語も聞いたことがあり、小説・コミックスも読みましたが、いずれでも楽しむことができる作品です。いずれもいい作品なので、ぜひお読みください。

【作品データ】
・作画:柴崎 侑弘
・原作:立川志の輔
・シナリオ協力:森下佳子
・出版社:小学館(ビッグコミックオリジナル増刊)
・刊行状況:全1巻