「マンガ大賞2010」ノミネート作品にして、第34回講談社漫画賞受賞作品。
ノイタミナでのアニメ化も決定。
これは何の作品のことかといいますと…『海月姫』(東村アキコ)。
今、少女まんがで最も注目されている作品の一つですが、今回、アニメがスタートする前に、改めてこの作品をおさらいしてみたいと思います。
【あらすじ】
おさげ髪にメガネのさえない外見。引っ込み思案でクラゲおたく。
倉下月海は、そんな世間からは“腐女子”と呼ばれるタイプの女の子だが、同じヲタ系女子たち、通称「尼~ず」の面々と、アパート「天水館」で楽しく暮らしていた。
ある日、月海が出会ったかわいい「おしゃれ女子」。それは、政治家の家に生まれ、稼業を嫌ってファッション業界で生きることを夢見る「男子」蔵之介だった。
月海に興味を持った蔵之介は、女装姿で男子禁制の天水館を訪れるようになる。自らのファッション&メイク術を駆使して、月海をおしゃれ女子へと変身させる蔵之介だったが…?
【みどころ】
出世作『着せかえユカちゃん』などで、おしゃれでポップな画風に定評のある東村アキコですが、その持ち味はこの『海月姫』にもふんだんに生かされています。蔵之介の女装姿や、月海の変身姿のかわいらしいファッションは、きっと女子のおしゃれ心をそそるはず。
そして、この作品の大きな見どころ。それは“腐女子”の純な乙女心。
コメディ色も強い作品ですが、どたばたしたデフォルメの奥から、
ヒロイン・月海のとても純情で繊細な心模様が伝わってきます。
男子に声をかけられただけで固まってしまったり、おしゃれな女子に拒否感を持ってしまったり、おしゃれな場所へと出かけることにとても勇気が必要だったり…
女子のみなさんだったら、こんな心情、心に覚えがあるのではないでしょうか?
世間一般で、“ヲタク”“腐女子”と呼ばれている女の子たちは、とかく偏見の目で見られがちですが、彼女たちの心の奥はとてもピュアできれいなのではないかと、この作品を読んでいると気づかされます。
男子に胸をきゅんとさせたり、きれいなものに心を動かされるヒロイン・月海の姿は本当にかわいくて、いとおしくなる。
カラフルポップなコメディとピュアな女の子のラブストーリーが見事に溶け合っている作品です。
アニメ化にあたって、作品に登場する個性的なキャラクターたちをどのように映像化してくれるのか楽しみです。
ヒロイン・月海と蔵之介にはカラフルなファッションスタイルを期待したいし、作品でとにかくいい味を出しているヲタ女子集団「尼~ず」の面々も、ぜひとも彼女たちのヲタっぽさと女子らしさが同居する魅力をきちんと描いてほしい。
そして、忘れてはいけないのが本作の「悪役」であり、お色気担当(?)でもあるセクシー美女・稲荷さん。
アニメでは色鮮やかな、というかよい意味でケバいバブル・セクシー美女の稲荷さんが見たいものです。