誰も知らない話が満載!『刑務官が明かす死刑の話』で都市伝説の○×も解説!

極刑が廃止される先進国も多い中、いまだに死刑制度のある我が国・日本。漫画『刑務官が明かす死刑の話』は、死刑執行に携わった刑務官から聞いた話を描いたコミックエッセイだ。死刑執行担当に選ばれる確率は年間で0.1%であるとか。その候補者になるのは優秀でベテランのある一定の条件を満たした者のみである。そしてそれは決して断れないのだ。

死刑執行にまつわるあれこれや、実際にあった脱走や自殺の話、「ここまで話していいのか?」と思わされるようなギリギリラインのマル秘話まで、コミカルかつ明確に説明されている。死刑執行人に選ばれたとわかるのは当日の朝だとか、「当たり」のボタンを押せなかった刑務官のせいで再度執行が行われたなど、刑務官の苦労も滲み出ている。ブラック公務員ナンバーワンらしいというのも頷ける。

そもそも死刑が行われるのは、全国の拘置所119ヵ所のうち7ヵ所のみであるらしい。しかも拘置所1ヵ所につき死刑設備は1つだけ。2020年12月現在では、109名の死刑囚が執行を待っているとか。しかし、死刑執行までには恐ろしく時間がかかり、法務大臣のサインが書かれるまでの間にも数多くの書類のチェックが行われるため、寿命で亡くなる死刑囚も少なくないようだ。

普段は死刑など縁のない人がほとんどだろうが、刑務官の苦労話やあるある話には興味を惹かれる。読み物としても知識になるし、興味本位で読んでみても面白いだろう。中には怖気立つ話もあったりする。できれば自分が執行される側には立ちたくないものだが、執行する側に立つのもまた辛いものだと実感させられる。死刑囚への手厚いケアにも驚くだろう。

【作品データ】
・作者:一之瀬はち
・出版社:竹書房
・刊行状況:全1巻