ラジオ番組を制作する人とリスナーが紡ぐ、心あたたまるマンガ『満ちても欠けても』

情報を届ける手段として、最も有名なのは新聞、テレビ、雑誌、ラジオの4つでしょう。これらは「マスメディア」と呼ばれ、大衆に情報を伝達するために利用されます。その中でもラジオは音声放送で、運転や勉強と並行して楽しむリスナーが多い点が特徴です。

ラジオはややマイナーですが、パーソナリティとの双方向コミュニケーションを取りやすいため、深夜のトラック運転手や受験生に人気があります。そんなラジオ局で働く人たちをテーマにした作品が、『14歳の恋』などを代表作に持つ水谷フーカ先生の『満ちても欠けても』です。

舞台となっているのは、都内にある大きくも小さくもないラジオ局のラジオ雛菊(AN1431)。

ラジオ番組は、パーソナリティとリスナーのコミュニケーションが肝です。1話完結のオムニバス形式で物語が進み、パーソナリティの天羽日向、プロデューサーの伊庭徹、ミキサーの牛塚理子など制作側、リスナー側の小森有希など、制作側とリスナー側から見た物語が丁寧に描かれています。

絵柄は比較的シンプルな線で描かれたものながら、作品にはいい空気感があり、ゆったりと読み進められる感じです。日常生活や仕事ではなかなか味わえない、肩肘張らない空気感や清涼感を求めている人におすすめします。

【作品データ】
作者:水谷フーカ
出版社:講談社(KISSコミックス)
刊行状況:全2巻