同性愛をテーマにした作品では、BL(ボーイズ・ラブ)作品が女性を中心に根強いファンが多く、ヒット作も出ています。その一方、百合作品(ガールズ・ラブ)もファンはいるものの、なかなかロングヒットにつながらないのが実情です。
そんな中、日常の癒しになる社会人百合が登場しました。それが、今回ご紹介するさつま揚げ先生の『同棲生活』です。本作は、ふとした出会いから同棲を始めたふたりの日常を描いた物語になります。
主人公は、ゆうちゃん(深見裕子)とみゆさん(小桜美雪)のふたり。ゆうちゃんは中小企業で働くOL、みゆさんは小説やエッセイを書く
全3巻で、サブタイトルは下記のようになっています。
- わたしを好きってことでしょ
- わたしだけが特別ならいいのに
- わたしは貴方だけのもの
1巻は1日目~11日目、2巻は12日目~21日目、3巻は22日目~31日目と、出会ってから1ヶ月間が描かれています。また、それぞれに描き下ろし(番外編)があり、ふたりの馴れ初めからさらに深い日常が楽しめます。
フルカラーで、絵柄もふたりの関係がうかがい知れる感じで可愛く描かれ、数少ない社会人百合作品として高い完成度です。ストーリーも整合性が取れているとともにしっかりと作り込まれており、各キャラクターの心情も丁寧に描写されているので、かなりの力量がある作者さんです。
同棲生活は決して楽しいことばかりではないかもしれませんが、きっとふたりは幸せな時を刻んでいくのかなと思わせるような終わり方になっています。
胸が高鳴るような百合を求めている人におすすめの作品です。
【作品データ】
作者:さつま揚げ
出版社:KADOKAWA(MFC)
刊行状況:全3巻