【ご当地漫画紹介・石川県】『天野めぐみはスキだらけ!』『のみじょし』

愛知県、北海道、沖縄県となった本シリーズ。第4回は日本海側に移って石川県を舞台にした漫画『天野めぐみはスキだらけ!』(ねこぐち)と『のみじょし』(迂闊)を紹介します。先日最終回を迎えた『天野めぐみはスキだらけ!』は11月18日に単行本ラストとなる27・28巻が発売されました。

https://twitter.com/yukito_neco/status/1461204591693815809

『天野めぐみはスキだらけ!』は石川県金沢市内にある高校(星稜高校?)を舞台とした作品で、主人公である進藤学(しんどう まなぶ)が東大進学を目指して勉強に、幼馴染の天野めぐみ(あまの めぐみ)が部活動の剣道に励む毎日を描いています。タイトルの“スキだらけ”ですが、単行本の表紙で分かるように、ムチムチなヒロインが“隙”だらけなところと、幼馴染である学を目いっぱい“好き”であるというダブルミーニングなのでしょう。

それでは、2人がすんなりカップルになるかと思えば、なかなか上手くいきません。と言うのも、学には片思いの女の子がいるんですよね。東大進学がその女の子に影響されたものと知れば、片思いの度合いは想像できるでしょう。そんな学をめぐみが応援しちゃってるんですから、学とめぐみの仲は進展しようがないんですよね。片思いしている相手の片思いを応援するってのはラブストーリーにおける定番の1つではあるのですが。

2人やその仲間達の高校3年間を描く中で、学とめぐみにすれ違いが生じたり、学に好意を寄せる新たなギャルのライバルが登場するなど、紆余曲折あるのはラブコメではおなじみの流れです。そうこうしているうちに学の間違った思い込みが解決されて、めぐみと両想いになるのはこれも定番でしょう。連載のラストでは努力の甲斐あって学は東大合格、めぐみは剣道で東京の大学に進学を果たしています。石川編から東京編に入るかなと思ったものの、大団円で連載が締めくくられました。単行本ラストの28巻では、登場人物達のその後を描いた描き下ろしも掲載しています。

続いて、竹書房「まんがライフオリジナル」などで連載中の『のみじょし』です。こちらの主人公は独身OLの高瀬道子(たかせ みちこ)。29歳にして彼氏と別れて4年たっていることが物語の冒頭で明かされています。眼鏡をかけていることもあって、見た目は真面目っぽい社会人風なのですが、お酒に関しては人格が吹っ飛びます。酒に逃げているとは思いたくないですが、そんな彼女と大学時代からの友人である東雲ゆき(しののめ ゆき)と宮内御園(みやうち みその)がメインキャラクター。酒に対してアクセル踏みっぱなしの道子に対して、ゆきと御園がハンドル&ブレーキってところです。


社会人である3人は何かと飲む機会を設けているのですが、直近の「まんがライフオリジナル」12月号では紅ズワイカニでお泊り女子会を開いています。「29歳で女子?」と思う人もいるかもしれませんが、まあ目をつぶりましょう。ビール、日本酒、ワインなど、登場するお酒は様々ですが、石川県の海の幸、山の幸がたくさん出てきます。一部はレシピも掲載しており、料理が好きな人は実践しても良いかもしれません。あまり得意でない人は御園さんの2工程料理もありますよ。

当初は3人を中心に描いていましたが、連載が長期に渡ったことで3人の友人知人や家族親戚などが続々登場。必然的に主人公であるはずの道子の影が薄くなっているのですが、「どこかで飲んでいるんだろうな」と思うことにしましょう。個人的にはそっくりな顔をしている東雲家の親戚が気になります。レギュラーとまでは行きませんが、ちょいちょい出番もあるので今後の活躍を期待したいです。


単行本は現在、第9巻まで発売中。4コマ漫画誌の売れ行きが厳しいのか、最近少なくなった増刊号も2020年に発売されたところを見ると、本作の人気の程が伺えます。グルメ漫画や飲み漫画がドラマ化、アニメ化されている中、本作のドラマ化でもないものかと考えているのですが、呑兵衛の主人公では難しいかもしれませんね。

【作品データ】
作品:天野めぐみはスキだらけ!
作者:ねこぐち
連載:小学館「週刊少年サンデー」連載
刊行状況:全28巻

【作品データ】
作品:のみじょし
作者:迂闊
連載:竹書房「まんがライフオリジナル」連載中
刊行状況:1~9巻発売中、以下続刊