前衛芸術の先駆け! シュールな作風がクセになる短編集つげ義春『ねじ式』

知る人ぞ知る、知らない人はまったく知らないマンガ家の代表格といえば、つげ義春先生をおいて他にはいません。私たちが日頃よく見聞きする「サブカル」(サブカルチャー)を地で行く作家さんです。

神経症などの持病があるため、1987年を最後にマンガ作品を発表していないものの、「ガロ」を主戦場にしていたこともあり、その個性的な画風に熱狂的なファンが多いことでも知られています。そんな作者が過去に発表した短編を集めたものが、今回ご紹介する『ねじ式』です。

タイトルとなっている『ねじ式』(1968年7月)をはじめとして、伝説のマンガ雑誌として知られる「ガロ」時代~休筆する直前の1984年までの短編14作品が収録されています。特に面白いと思ったのが、タイトルにもなっている『ねじ式』と『ゲンセンカン主人』で、いずれも映画化された魅力的な作品です。

作者の全盛期が「ガロ」でデビューしてから70年代はじめと言われており、学生運動が活発だった時代にカリスマ的な人気を誇り、特に団塊世代に大きな支持を得ています。

もともとは水木しげる先生のアシスタントをしていたこともあり、絵柄は水木先生によく似ています。また、線画を基本とするスタイルではなく、絵を白と黒という色で表現するスタイルを貫いたという点で異質なマンガ家だったといえるでしょう。

デビュー当時は暗いリアリズム様式でしたが、徐々に旅情の中にエロティシズムやシュルレアリスムを表現する作風に変わっていき、いわゆる前衛芸術やアングラ芸術の元祖ともされています。

実際に蛭子能収先生や佐藤秀峰先生、逆柱いみり先生など多くのマンガ家に影響を与え、芸能界にも竹中直人さんや本作でエッセイを書いている佐野史郎さんなど、たくさんのファンが居るつげ義春先生の作品を今一度読み直してみるのはいかがでしょうか。

【作品データ】
・作者:つげ義春
・出版社:小学館(小学館文庫)
・刊行状況:全1巻