シェアハウスに住む個性的な4人の気持ちが絡み合う恋愛ストーリー『カカフカカ』

「十で神童十五で才子二十過ぎては只の人」という言葉があります。幼い時は非常に優れていて特別だと思われていても、そのほとんどは成長につれて平凡な人になってしまうというたとえで使われるものです。

これは、現実社会で叩きのめされていくうちに自分の能力に気づくことが原因にあります。自信をなくして臆病になってしまい、シェアルームに住むことになった女性を主人公にして、そこに住む人たちの恋愛模様を描いた作品が今回ご紹介する石田拓実先生の『カカフカカ』です。本作は、2019年に森川葵さん主演でドラマ化されました。

主人公でもある亜希は、24歳のコンビニ店員。小学生の時は何でもよくできる子で、どこか特別感を持っていました。しかし、就活や恋愛に失敗したことで自信を喪失気味です。

そんな時に出会ったのが、中学時代の同級生ではじめてつきあった相手でもある本行智也。その当時は地味で目立たない存在でしたが、洗練されたイケメン小説家になっていました。しかし彼は小説が書けなくなり、それが原因なのかED(勃起不全)となっていたのです。

この二人を軸にして、同じシェアハウスの住人でかつて智也の担当だった長谷太一、熱狂的ファンの栗谷あかりが絡み、個性的な4人が住むシェアハウスを舞台にした恋愛物語は進んでいきます。

扱うテーマによっては、全体的な雰囲気も重たくなりがちです。しかし、本作は適度な軽さもありあっという間に読み進められるのではないでしょうか。

【作品データ】
・作者:石田拓実
・出版社:講談社
・刊行状況:全12巻