秋本治先生の「4誌で新作発表プロジェクト」第4弾は、下町の銭湯が舞台!『いいゆだね!』

秋本治先生の代表作といえば、多くの人が知っているであろう『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(以下は、通称の『こち亀』)ですね。この作品は1976年に連載がはじまり、2016年9月に最終回を迎えました。

その後、2016年の12月から順次4誌で新作の発表を行いました。最後となる2017年3月に「ウルトラジャンプ」にて連載開始されたのが、今回ご紹介する『いいゆだね!』です。本作は1994年に「スーパージャンプ」で読み切りとして3話が掲載され、2011年には『こち亀』の祝35年企画でコラボレーションされています。

舞台は東京の下町、墨田区東向島(玉の井)で熊野家が営んでいるひなびた銭湯・熊の湯。主人公は、熊野家に嫁いだマリア・ルーレス・可憐です。彼女は日系ブラジル人三世で、日本語が堪能。日本文化と銭湯、お年寄りを大切にしており、これらを大切にしない人には容赦しません。

そんな彼女は、銭湯を営む家に嫁いだこともあり、なんとかしてお客を呼び込みたいと考えています。そこで夫・熊五郎や父の虎五郎、従業員の珍念、番犬の厳五郎丸、義理の息子である鷹織(たかお)とともに、ひなびた銭湯を立て直そうと奮闘するさまがメインストーリーです。

『いいゆだね!』の絵柄は秋本先生らしく、『こち亀』と本当によく似ています。コラボレーション展開したこともあり、その時は麻里愛(マリア)や両さん(両津勘吉)も本編に登場しています。

先日レビューした『ファインダー』(記事はこちら)が京都・亀岡を舞台にした女子高生版『こち亀』としたら、本作は銭湯を舞台としているので銭湯版の『こち亀』といえるでしょう。

個人的には、秋本先生らしい作品は人情物語だと思っているので、またこうした人情物を描いてほしいですね。

【作品データ】
・作者:秋本治
・出版社:集英社
・刊行状況:全2巻