時代や世代を超えて人々の心をつかんで離さない名作『漫画 君たちはどう生きるか』

学生であれば学校生活で、すでに社会人として働いている人であれば会社内で人間関係やいじめなどの悩みに直面している人も多いのではないでしょうか。そうなった時にあなたはどのようにして乗り越えていますか?

そんな時のヒントとなる作品として、現在でも売れ続けている作品が吉野源三郎先生の『君たちはどう生きるか』です。それを原作として『ケシゴムライフ』を代表作に持つ羽賀翔一先生が、『漫画 君たちはどう生きるか』というタイトルで漫画化しました。

物語の舞台は1937年、今から84年前の日本です。主人公は中学2年生の「コペル」とあだ名される少年・本田潤一君。彼が学校生活でさまざまな悩みに直面するたびに、近所に住む叔父さんが生きていく上でのヒントをノートにつづります。そのノートにつづられた2人のやり取りを通して進んでいくという体裁です。

物語の舞台となった1937年は日中戦争の原因となった盧溝橋事件が起きた年で、ここから言論や思想は厳しく統制されていきます。これを境にして国全体が戦争へと突き進んでいくのです。

そんな中、危機感を持った作者が「自由に生きることの大切さ」を説くために、本書を書いたといわれています。絵柄も、当時の日本が置かれていた事情を丁寧に描いており、主人公と叔父さんのキャラクターが今にも飛び出してきそうな感じで描かれていて好感が持てます。

読み進めていって印象に残ったのは、「人間がとかく自分を中心として、ものごとを考えたり判断する」という箇所です。特に損得が関係してくると特にそうなりがちなので、私自身もそのことを自覚して考えていこうと思わされました。

人としてどう生きていくべきか、本書を読んでもう一度考えてみましょう。原作を持っている人も、漫画版を手にとってもう一度読み返してみてはいかがでしょうか。

【作品データ】
作画:羽賀翔一
原作:吉野源三郎
出版社:マガジンハウス
刊行状況:全1巻