見た目はヤンキー?!『小児外科のゆうか先生』は心優しい小児科医!

子供を病院に連れて行くだけでもひと苦労な日本のお母さんたち。病院は怖いとか痛いという負の印象しかないため、どうしても嫌がるのだろう。しかし子供たちに大人気の小児外科医を主人公にした漫画『小児外科のゆうか先生』は、そこらの小児科医とはちょっと違う。

女性のような名前がコンプレックスのゆうか先生は、元脳外科医で現小児科医の敏腕ドクター。難しい手術も他の医師の半分の時間で完璧に終わらせてしまう腕を持っている。見た目は性別不明のキレイな顔なのに、金髪で態度も口も悪いのが残念だ。それでも誠心誠意「命」に向き合う姿勢は誰にも負けない。

ゆうか先生が受け持つのは、難しい病気を発症し命の危機にある子供たちだ。子供に病気の重さを伝えられない親や、手術と聞くだけで怖がる子供を、対等な目線から励まし、時には厳しい言葉も掛ける。本当こんな医師がいたら懲戒モノかも知れないが、それほど真摯に幼い子供の命と向き合うのは、見た目からは想像もつかないだろう。

子供は口先だけの大人の嘘を見抜けるものだ。だからこそ、ゆうか先生の厳しい発言にもしっかり耳を傾けてくれるし、心も開く。病気というものは、本人に生きる意志があってこそ手術の成功率が上がる部分もあるので、上辺だけ取り繕っても子供たちは心を閉ざすだけだろう。

口の悪さや見た目の怖さで偏見を持たれがちなゆうか先生だが、子供たちはとても懐いてくれる。心のどこかで自分の命を預ける気持ちが生まれるのかも知れない。日本は医療には恵まれているが、それでもパーフェクトな医師などいない。必要なのは腕前はもちろんだが、何より子供との信頼関係だと考えさせられる作品だ。

【作品データ】
・作者:和乃アヤ子
・出版社:メディアファクトリー
・刊行状況:1巻(以下続刊)