とぼけた味わいの絵柄が魅力的な落語マンガ『マンガで読む名作落語三昧』

落語の原型が誕生したのが安土桃山時代。今の高座に近いスタイルができたのが1600年台末~1700年初頭の元禄期なので、落語が誕生してから約320年です。何度か「落語ブーム」が訪れましたが、2016年から現在に至るまで長い落語ブームのまっただ中にあります。

現在は新型コロナウイルスの影響もあってやや減っているものの、多いときには都内で1日1,000件近くの落語会が開催されるほど。そんな中で、落語初心者向けにマンガで解説された本も多数出版されました。今回は、さかもと瓢作先生の『マンガで読む名作落語三昧』をご紹介します。

収録されている噺は以下の16席。

  • 長屋の花見
  • 火焔太鼓
  • 文七元結
  • 岸柳島
  • らくだ
  • 死神
  • 夢金
  • 首提灯
  • 芝浜
  • 鰍沢
  • 小言幸兵衛
  • 品川心中
  • あくび指南
  • 二番煎じ
  • 猫の皿
  • 粗忽の使者

作者は落語に造詣の深いマンガ家としても知られており、情景描写はもちろんのこととぼけた味わいの登場人物も魅力的です。落語が好きな人は寄席に行ったり、テレビやラジオで鑑賞していますが、それらとはまた違った味わいがあります。

紙版では、落語芸術協会所属の真打・瀧川鯉朝師匠が解説を担当。コラムの「らくご じゅうばこ すみつつき」も落語落語界の裏側をちょっと覗けるコラムとして人気です。これらは電子版には載っていないので、購入されるのであれば紙版をおすすめします。

あまり落語を聞いたことのない初心者の方はもちろん、ファンになって長い人も楽しみながら読める一冊です。

【作品データ】
作者:さかもと瓢作
出版社:実業之日本社
刊行状況:全1巻