法律の裏に潜むドラマを描いた法律マンガの代表格『カバチタレ!』シリーズ

「法律」と聞くと、どのようなイメージがありますか? ある人にとっては「難しくてとっつきにくいもの」かもしれません。その他、「警察などが取り締まるためのもの」と答える人もいるでしょう。

実際は飲食業の営業許可申請などのように、生活に密着するものもあります。ただ、膨大な量があって細かいので、専門家(有資格者)の力を借りて解決するのが一般的です。それにちなみ、今回は先日完結したばかりの田島隆先生原作、東風孝広先生が作画を担当した『カバチタレ!』シリーズを紹介します。

物語の舞台は、広島県にある大野行政書士事務所。主人公は、大野事務所の補助者、後に行政書士の有資格者として働く田村勝弘です。

本シリーズのタイトルは、全部で3作。足掛け22年連載されました。

  • 『カバチタレ!』(1999~2005)
  • 『特上カバチ!! -カバチタレ!2-』(以下、『特上カバチ!!』)(2005~2013)
  • 『カバチ!!! -カバチタレ!3-』(以下、『カバチ!!!』)(2013~2021)

ちなみに、タイトルとなっている「カバチ」は広島弁で「屁理屈」を指します。「カバチタレ」とは「屁理屈を言う人(屁理屈屋)」という意味があります。

本作は2001年に『カバチタレ!』を原作としてフジテレビ系列で(主演:常盤貴子)、2010年には『特上カバチ!!』を原作としてTBS系列(主演:櫻井翔)でそれぞれドラマ化されました。

物語は3部構成です。『カバチタレ! 』では主人公の田村が補助者から行政書士試験に合格するまで、『特上カバチ!!』では試験合格後法律家として経験を積む過程、『カバチ!!!』では事務所を引き継いで所長となり独立するまでがそれぞれ描かれています。

初期は『ナニワ金融道』でおなじみの青木雄二先生が監修でした。作画担当の東風孝広先生は元アシスタントだったこともあり、コマ割りや絵柄、さまざまな手段を使って戦っていく作風など、師に影響されている部分も多くあります。

法律マンガとしてみると、まだネットが普及していない時代には「離婚届不受理申出制度があることを初めて知った」という声が出るなど、ビジネス雑誌などでも大きな話題になりました。このように、実務のイメージをつかむ入門書としての需要もあったようです。

原作者の田島隆先生は、海事代理士であり行政書士です(事務所のサイトはこちら)。作画担当の東風孝広先生はTwitterをされています(先生のTwitterはこちら)。作品そのものは完結しましたが、制作秘話や行政書士の業務に関する話をされるそうなので、楽しみに待っていましょう。

【作品データ】
作画:東風孝広
原作・原案:田島隆
監修:青木雄二(『カバチタレ!』のみ)
出版社:講談社(週刊モーニング)
刊行状況:『カバチタレ!』全20巻、『特上カバチ!!』全34巻、『カバチ!!!』既刊32巻