人気講談師・神田伯山が監修した初の講談コミック『ひらばのひと』

落語と同じ話芸に講談があります。現在は長く続く落語ブームの真っ只中で、落語家が東京と大阪を合わせて約1,000人いるのに対して、講談師は東京・大阪・名古屋を合わせてわずか80人。その開きはなんと約10倍以上です。

筆者自身は落語も講談も聞きますが、講談は落語と同じくらい聞き惚れる芸能です。しかし、落語ほどに人気が出ないのが現実。そんな中、久世番子先生が人気講談師・神田伯山先生(講談では真打昇進すると先生と呼ばれる)の監修を得て、今回ご紹介する『ひらばのひと』を描きました。

主人公は、二ツ目の女流講談師・龍田泉花。師匠の龍田錦泉と姉弟子で3人いる真打のにしき・錦月・錦風、唯一の弟弟子となる前座の泉太郎に囲まれながら二ツ目の修行をしています。

ストーリー上、もっとも多いのは弟弟子である泉太郎との絡みですが、彼女は率直すぎる言動にヤキモキしながらも優しく見守っています。また、講談でもっとも勇壮で盛り上がる場面を「修羅場(しゅらば/ひらば)」といい、尻上がりに読んでいくのですが、これを勇壮に読む弟弟子を羨む場面が印象に残っています。

作中では、姉弟子や先生、友人とのやり取りを通して講談界の習わしについて触れています。その他、知らない人も意外と多い落語と講談の違い、もっとも知りたい演目についてもわかるような構成になっており、読者からの評判もおおむね好評です。

講談をよく聞いている人はもちろんのこと、知らない人にとってもその入口となるでしょう。

【作品データ】
・作者:久世番子
・監修:神田伯山
・出版社: 月刊モーニング・ツー(講談社)
・刊行状況:既刊1巻