【ご当地漫画紹介・北海道】『十勝ひとりぼっち農園』『波よ聞いてくれ』

ご当地漫画紹介の第2回は、北の大地・北海道を舞台とした漫画です。最初に紹介するのは小学館「週刊少年サンデー」で連載中の『十勝ひとりぼっち農園』(横山裕二)です。

本作は自作の野菜でカレーを作ってお世話になった人にごちそうするとの企画に基づいて、作者が北海道十勝市に移住・生活する様子を描いたエッセイ漫画。かつてのバラエティ番組「電波少年」を思わせる企画はサンデー編集長の発案で、元は「ゲッサン」誌にて連載していた『ツール・ド・本屋さん』から続くものです。『ツール・ド・本屋さん』では「ゲッサン」宣伝のため、横山先生が全国各地を自転車でめぐって本屋にポップを置く企画を実施し、漫画化していました。その際に『MIX』のあだち充先生や『アオイホノオ』の島本和彦先生らにお世話になったため、そのお礼でカレーを……となっています。


十勝毎日新聞で出張編が掲載中の本作。北海道に縁の薄かった作者が、引っ越し先や農地を探すシーンは結構参考になります。例えば、不動産屋のスタッフから集合住宅で最上階や端の部屋よりも真ん中の部屋を勧められるのですが、その理由は北海道など寒い地方ならではのものでしょう。「で、その理由は?」と思う人は本作をどうぞ。

何とか野菜作りを始める横山先生は慣れない環境もあってか失敗の連続。それでもコミュ力抜群(編集者評)の横山先生は多くの人から手助けを得て、野菜作りとカレー作りを進めていきます。ややネタバレながら、カレーの出来栄えを書くと、1年目は惨敗、2年目は完敗でしょうか。

直近の連載では3年目(漫画内では2020年)に突入し、新型コロナウィルスの影響でカレー対決こそなくなりましたが、冷凍保存した自作カレーを食べてもらうことになりました。ニンニクやラムモツを活かしたカレーはおいしく仕上がっているようですけれども、果たして食べ比べはどうなるでしょうか。

一方、斜陽のラジオ業界を描いた漫画『波よ聞いてくれ』(沙村広明)も北海道を舞台とした漫画です。

主人公は札幌市内のスープカレー屋に勤務する鼓田ミナレ(こだ みなれ)。酔っぱらった場でぶちまけた失恋トークを無断(実は酔っぱらいつつ了承済)でラジオから放送されたことをきっかけとして、否応なしにラジオ業界へと足を踏み込んでいく様子を描いています。

講談社「月刊アフタヌーン」で連載中の本作。沙村先生の前作『無限の住人』から一転して平和な日常を描いていますが、主人公の性格もあって波乱万丈な展開は変わりません。妙な宗教団体が登場して主人公らが誘拐されたり、2018年に発生した北海道胆振東部地震で登場キャラが道民ともども被災したりと数々のアクシデントが起こりますが、ぞのいずれもを鼓田ミナレは根拠のない自信で乗り越えていきます。

北海道とともに深く描かれているのがラジオ業界。先に“斜陽”と書いたように、生き残りに懸命なラジオ関係者もたくさん登場します。彼らの中でミナレは復活に至るスパイスとなるのか、それとも消える寸前に一瞬明るくなるロウソクの炎に終わるのか。カレー屋勤務とラジオパーソナリティを兼ねた二足の草鞋を履きつぶしそうなミナレの活躍に注目です。

直近の連載でミナレは人気パーソナリティである茅代まどか(もしろ まどか)と酒を酌み交わしつつグチる大会の真っ最中。他方、アシスタントディレクターの南波瑞穂(なんば みずほ)が監禁される事件が発生します。さて、したたかに酔っぱらったミナレは事件解決に役立つでしょうか。「まあ、無理だろ」と思いたいんですけれども何か起こりそうです。

【作品データ】
作品:十勝ひとりぼっち農園
作者:横山裕二
連載:小学館「週刊少年サンデー」連載中
刊行状況:1~8巻発売中、以下続刊

【作品データ】
作品:波よ聞いてくれ
作者:沙村広明
連載:講談社「月刊アフタヌーン」連載中
刊行状況:1~8巻発売中、以下続刊