受験をテーマにした有名作品~『ドラゴン桜』シリーズと『二月の勝者-絶対合格の教室-』徹底比較

私たちが人生において経験する受験といえば、高校・大学受験が主なものです。住んでいる地域や親御さん、本人の意向によっては中学受験をする人もいるかもしれませんね。ただ、「受験」という言葉がついていても、中学と高校・大学ではぜんぜん違うもの。

それぞれの受験への向き合い方やノウハウについて描かれた作品が、大学受験では『ドラゴン桜シリーズ』であり、中学受験では『二月の勝者-絶対合格の教室-』です。両方ともに興味をそそられます。そこで、ここでは両者を比較してそれぞれを深堀りしていきましょう。

【扱っているテーマ】

ドラマ化されたことで多くの反響があったのが『ドラゴン桜』シリーズ(以下、『無印』と『2』)。本作は、大学受験がテーマです。

『無印』の方では、経営破綻した落ちこぼれ高校だった龍山高校を舞台としています。運営問題の解決を依頼された弁護士・桜木建二が最初は清算を考えていたものの、進学実績を上げようと考えて水野と矢島に東大合格を目指させるために受験ノウハウを授けていく構成です。

『2』は、有名私大への合格実績が上がっている一方で東大合格者が激減した10年後の龍山高校を舞台に、東大合格者を再び誕生させるべく桜木と教え子の水野が受験ノウハウを授けていきます。『2』では、いわゆる受験のボリュームゾーンと言われる偏差値50台~60台を対象にしているともいえるでしょう。

一方、『二月の勝者-絶対合格の教室-』(以下、『二月の勝者』)は中学受験がテーマです。

中学受験専門塾を舞台に、有名な私立中学を目指す子、中堅どころを目指す子、まだ志望校を定めていないもしくは受験を意識していない子などさまざまなタイプの子ども・親と接しながら、受験に向き合う家族の心理を描いています。

【主な個別テーマ】

『ドラゴン桜』シリーズの全体を通して見ると、生徒に桜木(水野)自身が受験ノウハウを伝えたり、かつて実績を出している講師を呼んで勉強法を伝授するシーンがよく描かれています。その学習方法は、一見奇をてらっているように見えるのも確かです。特に『無印』の方では偏差値30台の学校を舞台としていることもあり、よりその印象を強くしている部分もあります。

しかし、実際には確かな根拠に基づくもので、厳しいものもあれば楽しく学べそうなものまでさまざまです。特に、英語の覚え方や国語の読解法というのは実生活でも役立つのではないでしょうか。

その他、「受験生本人やその家族がどのように接すればいいのか」という、心理的な面に関するアドバイスも入るなど、扱っている範囲は広くなっています。

一方、『二月の勝者』は中学受験をテーマにしている作品です。中学受験は本人の意志より親御さんの意向が反映しやすいものでもあるので、本人はもちろんのこと親・家族の向き合い方が描かれています。

あまり受験ノウハウのようなものは描かれていないので、どうしても心理的なものに偏ってしまいがちです。そこは、不登校気味の児童や落ち着きのない児童、勉強に興味を持てない児童などさまざまな特性を持つ子どもおよび家族が取り上げられており、それぞれのタイプ別の接し方が見つかるような構成になっています。

【どのような層におすすめ?】

『ドラゴン桜』シリーズは、受験生本人および家族がどのように受験と向き合うべきかが描かれていると同時に、さまざまな受験ノウハウ・勉強法も紹介されています。

受験勉強というと「大人には関係なさそう」と思われがちです。しかし、勉強法の基本は受験にあります。そういう点では大学受験を控えている高校生はもとより、資格取得を目指している、および効率よく知識を吸収したい社会人(ビジネスパーソン)にも参考になる点が多くあるでしょう。

『二月の勝者』は中学受験がテーマです。作品自体も中学受験専門塾を舞台として、塾の視点で描かれています。勉強法の紹介は少なめなので、そうした要素を求めている人にはあまり向いていないでしょう。

その分、受験を控えた児童や家族の心理、塾の講師が取る対応については詳しく描かれているので、受験に取り組んでいる家族や意識しはじめた家族、および本人が読むと参考になる点も見つかります。

読み物として両者とも面白い作品なので、みなさんもぜひご一読ください。

【ドラゴン桜~作品データ】
作者:三田紀房
出版社:講談社(週刊モーニング)
刊行状況:ドラゴン桜 全21巻、ドラゴン桜2 全17巻

【二月の勝者-絶対合格の教室-~作品データ】
作者:高瀬志帆
出版社:小学館(週刊ビッグコミックスピリッツ)
刊行状況:既刊11巻