LGBT(Q+)の心の動きがわかるコミックス『カノジョになりたい君と僕』

日本でも市民権を得つつある言葉に「LGBT(Q+)」があります。Lは「レズビアン」、Gは「ゲイ」、Bは「バイ・セクシャル」、Tは「トランスジェンダー」、Q+は「クエスチョニング」と「クイア」のことです。

私も当事者のひとりとして、まだまだ好奇の目のようなものを感じます。それ以外に、いろいろな点で生きにくさを感じる場面もまだ多いでしょう。そんなLGBT(Q+)の揺れ動く気持ちを描いた作品が、たかせうみ先生の『カノジョになりたい君と僕』です。

主人公は体が男性で心は女性の米沢 アキラと、幼馴染の桜ヶ池 ヒメの二人。アキラはヒメにとって、いつも優しくてそばにいてくれる「男の子」で、初恋の人でした。しかし、ある日彼の心が女の子だと知ります。それ以来ヒメちゃんの前だけで女の子だったのが、高校に入って以降は普段から女性として過ごすことになったのです。

私が個人的に印象に残っているのは4つ。

●同級生のユッカが女の子を好きになって陸上をやめたとヒメちゃんにカミングアウトするシーン(第2巻・16話~17話)
●学ランをやめて女子の制服を来たヒメちゃんに憧れていた先輩が「かわいいね」と声をかけているのをみてショックを受けたアキラちゃんが「いいよね。女の子に生まれて」と嫉妬するシーン(第2巻・20話~22話)
●ヒメちゃんやユッカたちが女子会をしていたカフェで働いていた女性店員が実は同じ学校の先輩(男性)で、女子の嫉妬で学校に通えなくなった妹のためにしていることをカミングアウトするシーン(第2巻・22話~24話)
●アキラちゃんが憧れの先輩に告白するシーン(第3巻・35話)

世の中にはいろいろなアイデンティティがあります。もともとは男性(女性)だけど女性(男性)になりたい人、心と体の性別は一致しているけれど異性装を楽しみたい人、男性(女性)のまま同性を好きになる人など、その形は人の数だけあるといっていいでしょう。

それを表現しようとして行動すると、みんな少なからず傷つきます。それでも、ほんの少しの勇気を出して行動することがいかに大切なのかを本作が教えてくれているのです。私は当事者目線で読みましたが、自分自身のことを思い出して胸が締め付けられました。

爽やかで切なくて、そしてやさしい物語。すでに完結している作品ですが、8月31日までGANMA!アプリにて全話無料で読むことができます。LGBTQ+を知る入り口として読んでみてはいかがでしょうか。

https://twitter.com/TakaSe519/status/1418021610510950407

【作品データ】
作者:たかせうみ
出版社:コミックスマート株式会社(GANMA!)
刊行状況:全4巻