現代の受験事情・勉強法がわかる人気シリーズ続編『ドラゴン桜2』

「1年間本気で勉強したら、東大に合格できる可能性がある」と言われたら、本気で勉強する気になりますか? それとも「そんな簡単なものではない」と諦めますか? 多くの人は、後者ではないでしょうか。

もちろん必死で努力することが必要ですが、現役東大生は「才能(能力)の差が出てくるスポーツ・芸術に比べると、東大に入るのは簡単」と言い切ります。そんな彼らが実践した勉強法を元に、普通の高校生が東大に合格する過程を描いた作品が『ドラゴン桜2』です。
(前作のレビューはこちらもご覧ください

舞台は『ドラゴン桜』と同じく龍山高校で、前作の主要人物だった水野・矢島が卒業してから10年後を描いています。

進学校に成長したものの、有名私立大学の合格実績が上がる一方で東大合格者が減少し、ついに現役東大合格者がゼロにまで落ち込んだ龍山高校。主人公の桜木建二が龍山高校の理事になり、「東大専門コース」(東大専科)を作ると宣言したのが本作のスタートです。

東大専科に入った天野くんと早瀬さんにその勉強法を伝授するとともに、他の生徒も巻き込んでスクラムを組みながら勉強していくというのが流れにあります。

その他、2020年度(2021年1月)から導入された大学入学共通テストによって、受験がどのように変わっていくのかについて解説している場面があるなど、最新の受験事情について語っている描写もあるので、そういった受験事情を知るにも最適です。

『ドラゴン桜2』でも『ドラゴン桜』と同じく、さまざまな勉強法が紹介されています。基本的な勉強法は前作と変わらないものの、やはりインターネットやスマホが発達してきた現在に合ったものを取り入れているのが特徴でしょう。

例えば、天野にはYouTubeを使って英語で発信を行わせ、早瀬にはTwitterで英語の発信を行うよう命じている場面があります。他には「真の教育とは詰め込みである」と言っていた数学の特別講師・柳先生もLINEを使って数学の計算能力を高める試みを行うなど、時代に即したものに変わっています。

また、FFS理論をもとにした計画の立て方なども紹介されています。詳しいことは、関連書籍で『ドラゴン桜とFFS理論が教えてくれるあなたが伸びる学び型』という本をお読みください。このように、学習に関するさまざまな情報を知ることのできる点が最大の魅力です。

本作は、原作者の三田紀房先生が、同じ受験・教育をテーマにしたマンガ『二月の勝者-絶対合格の教室-』(小学館)の作者でもある高瀬志帆先生との対談でも言っているとおり、受験生人口の最大ボリュームと言われる偏差値50から60台の生徒に「1年間本気で勉強すれば、余裕で東大に行けますよ。諦めないで」と伝えることを最大のテーマにしています。

テーマは受験・教育ですが、私たち大人が仕事などにおいて必要なことを勉強する上で学ぶためのヒントがたくさん載っています。実際に受験を迎える高校生・浪人生におすすめなのはもちろん、それ以上に社会に出た私たち大人も学び方(型)を知るために読む価値があるでしょう。

【作品データ】
作者:三田紀房
出版社:週刊モーニング(講談社)
刊行状況:全17巻