受験をテーマにしたマンガ・書籍はたくさん出版されています。実際、さまざまなテクニックや勉強法が紹介されており、受験生でなくても参考になる点ばかりです。書籍であれば『受験は要領』などがありますが、マンガであれば三田紀房先生の『ドラゴン桜』が代表作といえるでしょう。
ドラマ版ドラゴン桜の冒頭で、主人公役を演じた阿部寛さんが発した「バカとブスこそ東大に行け!」というセリフが印象に残っている人も多いと思います。目標を東大一本に絞っていることもあってどこか反発しながら読む人も多いでしょう。確かに受験テクニックという点では古くなっているところもありますが、その考え方は大いに参考になります。
主人公は元暴走族で駆け出し弁護士の桜木建二。経営状態が思わしくなく、破綻状態となっていた私立龍山高校の運営問題を請け負うところから物語が始まります。最初は清算しようとしていたものの、「進学実績を上げれば破綻を回避できる」と考えた桜木は「5年後に、東大合格者を100人輩出する」と宣言します。
そこから特別進学クラスに入った水野直美と矢島勇介に、東京大学に合格するための受験テクニックや勉強法を教えていくというのが全体の流れです。
作品内では、勉強法から普段の過ごし方、子育て論など多岐にわたって書かれていました。特に勉強法は、実際に東大生にリサーチしただけあり、常に「なぜ?」を考える、計算は常に暗算できるようにする、洋楽の歌詞などから使えるフレーズを繰り返し覚えるなど、ちょっと応用すれば資格試験などの勉強にも使えるテクニックがたくさん紹介されています。
名言も豊富で、特に印象に残っているのは「受験に重要なのは知能ではなく、根気とテクニック」という言葉です。読者層は決して受験生とは限らないと思うので、たとえば「資格試験の合格」に置き換えてみるとわかりやすいでしょう。
本作は偏差値30台の高校を舞台として、そこでも特に下の方にいた生徒が東大を目指すという物語でした。下から数えたほうが早い成績の生徒が1年間で合格できるのかという点では、やや疑問は残ります。しかし、夏休み前の偏差値が40台後半~50あたりの現役生であれば、今でもこの考え方をベースにして、現状に合った勉強法を実践すれば合格する可能性はあると考えられます。
もう大人になった私たちにとっても、勉強法の参考になるという点でオススメしたい作品です。
【作品データ】
作者:三田紀房
出版社:週刊モーニング(講談社)
刊行状況:全21巻