優しさの権化のヤンキー?『通りがかりにワンポイントアドバイスしていくタイプのヤンキー』の知恵袋がすごい!

ヤンキーと言えば日本では不良。あまり関わりたくないタイプにカテゴライズされる、長めの金髪にジャラジャラのアクセサリーがテンプレ的な表現だが、漫画『通りがかりにワンポイントアドバイスしていくタイプのヤンキー』の主人公の桜井さんは、見た目と中身のギャップがすごいと話題だ。

よそ見してぶつかってきた子供のアイスがズボンにかかっても「犬の柄が入ってかっこよくなった」と慰めた挙げ句、夫に唐揚げの文句を言われたと聞こえてきた母親の話にも、美味しい唐揚げ作りの一手間を教えて颯爽と立ち去っていく。見た目で誰もが「ヤバいのに関わった……!」と思っても、すぐに相手を虜にする桜井さんは、まさに本作のタイトル通りだ。

大抵は人を見た目で判断し、目つきが悪いとなおさら警戒されてしまうが、桜井さんと関わった人たちはみんなほっこりした気分になれる。ただのワンポイントアドバイスだけでなく、心の片隅を温めてくれるヤンキーだ。たとえ見た目の怖いヤンキーであっても、自分を通す芯の強さと、他人を思いやる優しさが同座する良い人であることには違いない。

恋する人、慕う人、悩む人、その友人知人などがうまく絡んでいき、繋がっていく物語の中心には、イカツイが心優しい桜井さんがいる。決して喧嘩しないネコ好きな桜井さんは、生活の知恵だけでなく運動にも有能。さらには場の空気も読めるし、人の心の機微にも敏いハイスペックヤンキーだ。

日本の漫画ではよく、雨の日に捨てられている犬猫を拾うヤンキーという形でギャップを表現するが、桜井さんはまさかの生活の知恵系ヤンキーで非常に尊いと高評価。老若男女問わず愛される善人である。

【作品データ】
・作者:おつじ
・出版社:スクウェア・エニックス
・刊行状況:1〜4巻(以下続刊)