すれ違いあり、急接近あり!?女の子同士の恋愛を描いた人気作『〇〇と加瀬さん。』シリーズ

「BL(ボーイズ・ラブ)」と呼ばれる男性同士の恋愛をテーマにした作品が市民権を得て久しいですね。これに対して、女性同士の恋愛物語は「GL(ガールズ・ラブ)」もしくは「百合」といいます。

しかし、男女ともまだまだ「ハードルが高い」と感じる人もいることでしょう。そこで、そんな百合初心者にとって入門編として読むといい作品が、今回ご紹介する高嶋ひろみ先生の『〇〇と加瀬さん。』シリーズです。

最初はピュア百合アンソロジーの『ひらり、』Vol.2(新書館)にて、読み切り作品という形で掲載されました。同誌のVol.4よりシリーズ化され、2014年発刊のVol.14まで続きます。『ひらり、』廃刊後は『ウェブマガジンウィングス』(2014年11月号~2017年3月号)、『ウィングス』(2017年6月号~)と掲載誌を変えながら、約10年にわたって続いているシリーズです。

サブタイトルはすべて「〇〇と加瀬さん。」で、コミックスのタイトルも同じく『〇〇と加瀬さん。』となっています。2020年9月末現在で発行されているのは下記6巻です。

  • 『あさがおと加瀬さん。』(2012年)
  • 『おべんとうと加瀬さん。』(2014年)
  • 『ショートケーキと加瀬さん。』(2015年)
  • 『エプロンと加瀬さん。』(2017年)
  • 『さくらと加瀬さん。』(2018年)
  • 『山田と加瀬さん。 1』(2019年)
  • 『山田と加瀬さん。 2』(2020年11月発売予定)

物語の主人公は、学校の緑化委員で園芸が好きな山田結衣。内気な性格で、少しどんくさいところがあります。そんな彼女に思いを寄せるヒロインが、本作のタイトルにもなっている「加瀬さん」こと加瀬友香。彼女は対照的にとても快活な性格で、周囲の人気者です。

その一方で、草むしりをしたりあさがおに水やりをしている結衣に好意を持っており、友香に話しかけられたことをきっかけに好意を抱きます。

なかなかうまく表現できず、嫉妬したりそんな自分を嫌悪したりしてなかなか距離を縮められない結衣を、加瀬さんが明るさで包み込み、少しずつその気持ちを表現していく結衣の成長も楽しめる作品です。

交際をスタートさせるきっかけとなった2年生の夏休み前から物語がはじまり、現在は大学生になった二人と、それを見守る三河さんが描かれています。

女の子同士の恋愛をテーマにしているだけあり、「キラキラとしたピュアな感情」を表現しているのがシリーズを通した作品の特徴です。絵柄もとてもキュートで、好きな人に告白されたときのドキドキ感、初めて恋愛感情を抱いたときの初々しさが表れています。

ときには笑い、ときには泣いて、周囲にいる友だちの力も借りながら、距離を縮めていく二人。恋愛の中でも、コアとなるピュアな気持ちが表現されている『加瀬さんシリーズ』で、百合作品デビューを飾ってみるのはどうでしょうか。

【作品データ】
・作者:高嶋ひろみ
・出版社:hirari,comics(新書館)
・刊行状況:既刊6巻