70年代当時の熱がよみがえる『薔薇はシュラバで生まれる 70年代少女漫画アシスタント奮闘記』

1970年代初頭から1980年頃までは、「少女漫画黄金時代」です。この時代に連載を持っていた漫画家は、美内すずえ先生、くらもちふさこ先生、樹村みのり先生、三原順先生、山岸凉子先生などがいらっしゃいます。

執筆ペースの多少はあるものの、どの先生も今なお現役です。そんな彼女たちが70年代~80年代に描いた作品は固定ファンも多く、今なお読みつがれています。当時、アシスタントとして活動し、多くの作品が誕生した瞬間を見ていた笹生那実先生が描いたのが『薔薇はシュラバで生まれる 70年代少女漫画アシスタント奮闘記』です。

彼女はその後93年に引退して同人誌活動をなさっていますが、当時はデビューしながらヘルプアシスタントとして多くの少女漫画家のところに出入りしていました。雑誌の刊行数も多く、人気のある漫画は何冊も連載を持ち、ページ数も半端なく多かったという事情もあったようです。

ちなみに、当時連載を持っていた多くの若手がヘルプとしてアシスタントをしていたとのことでした。

今は、デビュー前の(デビューを目指す)人がアシスタントをするというイメージです。デビューしていた人が掛け持ちをするというのは、なかなか想像がつかないかもしれません。それでも、みんなで作品を作る一体感、名作が生まれる背景を見ることができるという楽しみが、アシスタントの醍醐味だったというのは想像できます。

絵柄に関していうと、いかにも少女マンガという感じが強いので、もしかしたらそれだけで苦手意識を持つ人もいるかもしれません。しかし、これは特定の時代におけるマンガ家の裏側を描く作品なのでやむを得ない部分もあります。

ただ、商業作品は数十年ぶりということですが、同人誌とはいえ現在でも現役で描かれている人なので、各キャラクターの描き方・キャラの出し方についてはさすがだと思わせる部分ばかりです。

作中には、当時大活躍されていたマンガ家の秘話がたくさん描かれています。レジェンド的な作者の仕事ぶりや言葉を知る上でも興味深く読める一冊といえるでしょう。

【作品データ】
作者:笹生那実
出版社:イースト・プレス
刊行状況:全1巻