天使だって恋をする!『エンジェル・ハンティング』で地上へ?!

神話の時代――神の王・ゼウスの愛した石像に嫉妬し、それに命を吹き込んで地上に降ろした妻のヘラ。しかしその命を得た娘は、2週間後には子供を宿してしまうと予言され、低級天使であるレオにその娘を連れ戻せという命が下る。ゼウスの娘のダイアナの弓と、息子アポロンのサークレットを持ち、地上に降りたレオだったが……。

表題作『エンジェル・ハンティング』で人間を好きになったレオは、もう一作の『スクランブル・エンジェル』でも同じ目に遭い、人間にしか流せないという涙を流す。嫉妬深い妻のヘラに頭の上がらないゼウスだが、しっかりした子供たちのおかげで、勘所を押さえた構成になっている。

ギリシャ神話をベースにした作品は多くあるが、ヘラの嫉妬を強く描いた本作は、一人の下級天使を成長させる。さらには美しい女神たちが多数登場し、文字通り神々しい存在感を出しているのだ。キャラクターの名前がギリシャとラテン語で違うのだが、敢えて著者の好きな方の読み方にしたため、統一されていないとのこと。

神でもヘラのように嫉妬深い女性もいれば、アルテミスのように慈悲深く慎ましい女性もいる。やはり彼女たちも色ごとにおいては人間と変わらないものだとしみじみ感じさせられた。ヘラの尻に敷かれっぱなしのゼウスが妙に人間味があって良いと思う。

主人公は低級天使のレオだが、彼を中心に描かれる神々のやりとりも興味深い。ゼウスは様々な女性との間に子をもうけているため、義兄弟姉妹の関係もうまくスパイスになっている。神は人間などくだらない愚かなものだと考えているが、レオだけはその良さを知っている。だからこそ最後に選んだ道が印象的だ。

絵のタッチはバリバリの昭和的な少女漫画だが、ギリシャ神話を描くにはむしろ向いているといえるだろう。25年前の作品であるが、その時代の流れを感じさせない恋愛譚に、現代の女性の心も動かされるに違いない。

【作品データ】
・作者:光﨑圭
・出版社:オフィス漫
・刊行状況:全1巻