秋本治先生の新境地!亀岡を舞台に女子高生の日常を描いた意欲作『ファインダー-京都女学院物語-』

『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で知られる秋本治先生が、同作連載終了直後から取り組んでいたプロジェクトに「4誌で新連載」というものがありました。

その中のひとつで、京都の郊外・亀岡市にある高校の写真部に所属する女子高生の目線から亀岡市や京都市の魅力を発見していく過程を描いたのが、今回ご紹介する『ファインダー-京都女学院物語-』です。当作品は、ヤングジャンプ2017年10号から2018年17号まで不定期で全4回連載されました。

ファインダーとはカメラに取り付けられた、構図やピント合わせに使われるのぞき窓で、タイトル通り写真部に所属する女子高生を描いています。主人公は、京都府亀岡市の女子校「京都女学院高等部」に通っている4人組、タカコ・ツバメ・チドリ・スズメです。

部長は夏のフォトコンテストでの入賞を目指しているものの、当の部員たちはそこまで意欲的ではない。そんな写真部の4人組が、2年次から卒業までに地元の亀岡市や京都市をめぐりさまざまな風景を写真に残していきます。

作品内には保津峡や保津川下り、トロッコ亀岡駅、京都市では京都タワーや祇園祭、金閣寺など京都を代表する風景が、4人組の視点でふんだんに描かれています。

秋本先生といえば、作品内にちょっとした豆知識をふんだんに盛り込む作風で知られていますが、本作でもこの路線が引き継がれています。もともとしっかりとした取材を行って、ディテールにこだわった作品作りを行う先生だけあり、まるで京都市や亀岡市の写真を見ているかのような錯覚に陥ります。

実際、連載直後から作品内で描かれた場所・神社・飲食店をめぐる「聖地巡礼」を目的とした観光客が増えたそうで、その人気の高さがうかがえます。

これからも秋本先生による作品を楽しんでいきたいですね。

【作品データ】
・作者:秋本治
・出版社:集英社
・刊行状況:全1巻