女子高生たちのひたむきな姿を描いた女子硬式野球マンガ『球詠』

長らく男性の競技と思われていたものに、女性の進出が目立ってきています。野球も例外ではありません。女子野球の歴史は意外と古く、アメリカでは1866年から行われています。しかし、世界を見渡してもプロリーグがあるのは日本だけで、他はアメリカや韓国にアマチュアリーグがあるくらいです。

まだまだマイナーな女子野球ですが、女子硬式野球がメジャースポーツとして認知されているという設定で描かれた作品が、マウンテンプクイチ先生の『球詠』です。埼玉県越谷市を舞台に、全国大会出場を目指す女子硬式野球部の歩みを描いています。

主人公は投手の武田詠深。野球は中学で辞めるつもりでしたが、入学した新越谷高校には野球好きの川口芳乃と息吹の姉妹、幼馴染の山崎珠姫がおり、中学時代に投げられるようになっていた鋭く曲がる変化球を捕球できる捕手(珠姫)と出会ったことで野球を続ける決心をします。

しかし、野球部は不祥事による活動停止中で、残っていたのは2名の2年生だけでした。そんな中でも詠深たちは部員集めに奔走して、試合ができるだけの部員を集めて再建していきます。

本作は『まんがタイムきららフォワード』(芳文社)で連載されています。きららシリーズの漫画雑誌は姉妹誌が4冊あり、それぞれ美少女キャラや萌キャラと呼ばれる女の子が出てくる作品を扱っているのが特徴です。

『球詠』も例外ではなく、美少女が多数登場。作者は百合作品を得意としていることもあり、そうした要素も作品内に盛り込まれています。もちろんメインである野球の練習風景や試合シーンは細かく描かれており、かわいい女の子がひたむきに野球に取り組む描写がいい味を出しています。

女子野球をテーマにした作品はいくつかありますが、その中でも百合・美少女要素と本格的スポーツ要素がバランスよく盛り込まれた、百合好きにも野球好きにもおすすめできる作品です。

また、4月からはCSのAT-X、地上波のABCテレビやTOKYO MX、その他配信サイトにてアニメ放映されています。6月にはBlu-ray『球詠 1』が発売される予定です(※)。公式サイトでは出演声優が野球に挑戦する動画も公開中。コミックスやアニメ作品とともに見るともっと楽しめるでしょう。

(※)『球詠 1』には、アニメ第1話~第3話が収録。順次2~4が発売予定。

【作品データ】
・作者:マウンテンプクイチ
・出版社:まんがタイムきららフォワード(芳文社)
・刊行状況:既刊6巻