女の愛と嫉妬と裏切り……短編集『モナリザの影』で本音を映す!

眉目秀麗、頭脳明晰、性格明朗と、非の打ち所のないデキる女性の葛西小夜花。男性からだけではなく、女性からも慕われる温厚な性格に、誰もが一目置いていた。そんな小夜花には英里花という双子の妹がいる。見た目はほとんど同じだが、性格はキツく積極的。いつも小夜花が理不尽な目に遭うと、どこからか手を回してくるのは──?

表題作となる『モナリザの影』は、あまりにもよくできた女性に起こりうる心の機微を描いている。両親からも可愛がられ、周囲から期待され、褒められてはさらに上を望まれる……。そんな小夜花が最終的に辿り着くのはどこだろうか?

記憶喪失の男の生き様が見える『仮面のジョージ』は、記憶を失う前はたいそう冷徹非情だったようだが、それすらも思い出せない。本当にこのままでいいのかと迷いながらも、今の自分を貫こうとする。『冬枯れの家』はショッキングな題材がテーマになっていて、「家庭とは?」「家族とは?」という理想と現実が突きつけられる問題作だ。

『12月に雨』は年の差や不倫というありがちなパターンを背景にしつつ、本物の愛情とは何なのか、自分がしたかったのはどういうことなのかを考えさせられる作品。4つの短編はそれぞれにミステリアスで、サスペンス的な要素も含まれている。

さらには、自分を主人公に投影することで深いところまで探求したくなり、きっと読み進める手が止まらないはず。愛は時に心を蝕む。それがやましいところのあるものならなおさらだ。女性が持つ本音の部分がえぐられそうな設定は、読者を絡め取って考えさせる。目を逸らしたくなりつつも直視させられる物語に引き込まれることだろう。

【作品データ】
・作者:鈴木雅子
・出版社:ビーグリー
・刊行状況:全1巻