今年のマンガ大賞は『ブルーピリオド』に決定

先日、マンガ大賞2020の発表があった。書店員を中心とした漫画好きが選んだ今年の作品が『ブルーピリオド』(山口つばさ/講談社)だ。

中学校や高校のクラブ活動をテーマにした漫画では、野球やサッカーといった運動部を取り上げた作品が圧倒的に多い。ただし音楽や美術など文化系のクラブ活動をテーマにした漫画も存在する。

『ブルーピリオド』の主人公は高校生の矢口八虎(やぐち やとら)。成績優秀で多くの友達と温かい家族に囲まれ、傍から見ると充実した毎日を送っているものの、どこか空しさを感じてそれを表に出せないもどかしさも抱いていた。ひょんなことから美術部の先輩が描いた絵を見た矢虎は美術部に入部し、そして美大受験へと飛び込んでいくことになる。

連載開始時に高校2年生だった八虎は、絵に対する意欲に加えて持ち前の集中力を最大限に発揮。美術部顧問の先生や美大予備校の講師から適切なアドバイスを受けることで、わずか1年程度で美大受験の1次試験に通過するまでに成長してしまう。もちろんそこに至るまでに度々行き詰まるのだが、悪戦苦闘しつつもそれを乗り越えていくのはいかにも漫画的で、スポ根漫画によくある爽快感すら覚えてしまう。

東京藝術大学卒業の経歴を持つ作者が手がけた本作。実際に描かれた作品をそのまま漫画に取り入れながら、絵を描くために必要な道具の選び方からスケッチや油絵の仕上げまで解説した内容は、美術部に所属する人や美大を目指す人、美大に在籍していた人には「あるある」だろうし、これまで美術に縁がなかった人にも分かりやすく興味を持って読んでもらえるに違いない。

なお下記ツイートの告知通り、単行本の最新7巻は3月23日に発売が予定されている。

受験当日に体調を崩してしまうトラブルに見舞われるなど苦戦しつつも現役で美大に合格した八虎。もちろん合格してそれでハッピーエンドになれるわけでもなく、一学期早々の課題から自分の力量不足を思い知らされるハメになる。美大生としての4年間のみならず、その後の美術に関わる人生で八虎や仲間達がどんな成長をしていくか見守っていきたい。

【作品データ】
作者:山口つばさ
出版社:講談社(アフタヌーン連載中)
刊行状況:1~6巻発売中、7巻3月23日発売予定