【あらすじ】
20世紀末、バブル崩壊後の日本。跳梁跋扈する幽霊を倒すゴーストスイーパー（GS）と呼ばれる人々がいた。世界最高クラスのゴーストスイーパーの一人、美神令子は人々を守るため……ではなく「大金を手に入れるため」に日々ゴーストたちと戦っていた。物語はそんな美神令子除霊事務所の日常が描かれる。

【気軽に読める娯楽活劇】
現在、超能力美少女を扱った『絶対可憐チルドレン』でヒットを飛ばしている椎名高志の出世作で、アニメ化もされたほどの人気作品です。幽霊ものの中でもポピュラーな除霊ものですが、そこに出てくる幽霊のほとんどはオリジナルの設定で作られていて、専門的な知識は要りません。除霊ものの基本であるお札を使用したかと思えば、霊的なエネルギーを込めたライトセーバー状の武器、変わったところではオーストリア軍正式採用のアサルトライフルに霊的な力を込めた弾丸を込めて戦うこともあります。霊的な力と科学を混ぜ合わせたアンドロイドや武器などは荒唐無稽ではありますが、設定は意外なほど緻密に描かれていて違和感がありません。

個性豊かなのは主人公サイドにも言えます。主人公である美神はワンレンボディコンというバブル期のお立ち台ギャルのような格好で戦い、性格はがめつく派手好きで自己中。全く少年漫画の主人公っぽくありません。彼女の仲間もスケベ（下心）丸出しのアシスタント青年や、人柱として死んだ少女の幽霊など多彩。アクションやシリアスなシーンもありますが、生死を扱うことが多い幽霊ものの中でも特別気を使わず、力を抜いてみられる娯楽作です。幽霊との戦闘シーンは派手そのもので、街一つが壊滅しかねない大立ち回りから、一対一のガチンコバトルまで幅広く、「それはやり過ぎでは？」と思わせるほどの戦い方は胸がすくアクションものとしても楽しめるでしょう。

【作品データ】
・作者　 ：椎名高志
・出版社　：小学館
・刊行状況：全39巻（完結）