名作カンフー漫画の正統続編『拳児2』、待望のコミックス発売!

伝統ある中国拳法「八極拳」を題材に、現代に生きる少年のひたむきな武術修行と冒険、成長を描いた名作『拳児』。1988~1992年に連載され今なお根強い人気を誇る同作だが、27年の時を経て正統続編『拳児2』として復活し、このほど単行本がリリースされた。今回は記念すべき第1巻のレビューをしてみたい。

前作ラストで拳法の極意に近づいた主人公・剛 拳児は、続編では若い(見た目は30代半ばくらい?)ながらも八極拳や他流派まで含めた達人として名を馳せていた。どうやら勤め人にはならず、日本と中国を行き来しながら拳法関係の書籍を執筆して暮らしている様子。

そこへ幼なじみの太一が、息子が学校で暴力的ないじめを受けていると相談に来る。前作での太一と同じく気が弱い彼の息子に対し、拳児は「力ですべてを解決することはできない」と諭しながら、「でも戦う姿勢を見せることは大切」と抵抗するための戦術を教える。その出来事がきっかけでいじめ問題は解決し、拳児はいじめっ子の親(空手使い)と意気投合。これ以降、さまざまな武道・武術家との関わりを広げていく――というのが続編のストーリーだ。

過去の主要キャラクターはほぼ健在だが、拳児に大きな影響を与えた八極拳使いの祖父は他界しているのを匂わせる描写がある。同年代の幼馴染はそれぞれ結婚して子供をもうけ、その子たちもストーリーに関わってくる。

また、大人になった拳児は昔のサラサラヘアーな「素直な子」から、ツンツン頭の「飄々とした青年」といったイメージへと変化し、かつて憧れていた祖父に近い言動が増えてきた。普段は軽口を叩いているが大事な場面ではキリッとした態度で問題を解決するなど、人間的な成長がうかがえる。

もはや複数人と乱闘になっても苦戦はおろか、1発も被弾しないほど強くなった拳児なので、本作のテーマは「いかに強くなるか?」ではないだろう。描きたいのはその先、「肉体的な強さを得たあとに何をすべきか?」「平和な現代日本で武術をどう活かすか?」だと予想する。

特に注目したいのは、拳児が弟子をとるという一大決心だ。日本人でありながら中国の伝統武術を受け継ぐ偉業をなしとげた彼だが、いまだ家庭はもたず、道場を作って弟子をとったりもしていない。どちらかといえば根無し草のような生き方だった。しかし太一の息子をいじめから救い、前作序盤でヒロイン役だった晶ちゃんと再会した(彼女の娘も八極拳に興味を示している)ことなどから、指導者としての自分自身を意識し始めている。

たくさんの師に教えられ強くなったのなら、次はそれを後の世代に引き継いでいかねばならない。この部分が物語のキーになると想像しながら、続きを楽しみにしたい。

ちなみに1巻のあとがき漫画で描かれていたのだが、本作は過去に原作者だった松田隆智氏が亡くなっているため、『拳児』初代担当編集者がストーリーを考え、松田氏のお弟子さんが武術面のチェックをしているとのこと。なのでクオリティについては心配ないだろう。安心して読んで大丈夫なようだ。

【作品データ】
・原案:松田隆智 作画:藤原芳秀 シナリオ協力:佐藤敏章
・出版社:小学館
・刊行状況:1巻まで(続刊)