少額でも泣き寝入りしない!『貸した金返せよ!』で金銭トラブル解決法を学ぼう

間もなく小学生になる息子もいるために夫婦共働きで、パートをしている瀬名真弓。ある給料日に同僚の大近へ1ヶ月だけという約束で10万円を貸したが、翌月に返済されるどころか、再度追加で15万円貸して欲しいと頼まれる……。職場の人間関係を円満にしておきたい真弓は無理をして応じたが、実は大近は借りた金を返さない常習犯だった?!

他のパート仲間によって大近の過去の悪行や用意周到さを知らされた真弓は、たかが25万円では裁判を起こしても、その費用の方が高くつくと知っていた。大近もおそらくそのあたりを見込んでの金額設定だったのか。あまりの狡猾さに、まず読者は大近への怒りを持つはずだ。しかし、冷静な真弓の考えにもまた頷けるため、過去の被害者のように泣き寝入りするしかないのか……と考えるだろう。

そんな真弓が偶然目にしたのは、市役所で行われているという「無料法律相談」のポスターだった。ダメ元で飛び込む真弓だったが、親切な弁護士にアドバイスされて「少額訴訟」という制度を知る。1万円もかけずにできる簡単な裁判らしく、早速行動に移す真弓。何よりも息子が誕生日に欲しがっていたゲーム機を買ってやりたいという一心だった。

手続きの詳細が描かれているため、訴訟の経験がない読者にもわかりやすくなっており、もしかすると役に立つかも知れない。そして訴状を受け取った大近にものすごい剣幕で詰め寄られるが、あくまで真弓は冷静さを貫く。そう、このような場面では感情的にならないことが一番重要であるというメッセージでもあるのだ。

裁判には勝ったものの、貸したお金の返済がない翌月の給料日。大近がパートを辞めたと知らされるが、しかしそれも見越していた真弓は、執念の下準備によって「貸したお金は、きっちり返してもらいます」と断言する。最後のページの、念願のゲーム機をプレゼントされた息子の笑顔もいいが、諦めずに頑張った芯の強い真弓の振り切れた笑顔にスキッとした気分にさせられる短編漫画だ。

【作品データ】
・作者:なせもえみ
・出版社:ユサブル
・刊行状況:全1巻