10歳の奥さんってどうですか?『妻、小学生になる。』

生まれ変わって活躍する……という漫画作品が花盛りの昨今。もっとも、生まれ変わる先はほとんどが異世界で、勇者になったり魔法使いになったり、聖女もあれば悪役令嬢もある。果てはスライムや白熊や剣なんてこともあります。

今回紹介するのは、そうした大げさな展開ではなく、亡くなった奥さんが10歳の女の子に生まれ変わって現れたという作品。芳文社「週刊漫画TIMES」で連載中の『妻、小学生になる。』(村田椰融)です。

主人公はサラリーマンの新島圭介。10年前に奥さんである貴恵を亡くしてから、丸っきり腑抜けな毎日を過ごしています。夫婦の間には1人娘の麻衣もいるのですが、こちらも父親である圭介と同じように元気を無くしていました。

そんな2人の前に現れたのはランドセルを背負った小学4年生の白石万理華。彼女は自分が貴恵の生まれ変わりであることを告げます。もちろん圭介と麻衣は本気にしませんでしたが、家族しか知らない出来事が万理華の口から出てきたことで、ようやくそれを信じるようになり、ちょっといびつな形なからも親子3人の再会がなされていきます。

2018年に読切掲載された本作。好評だったことから連載になったのは間違いなさそうですが、ただし作者である村田椰融先生のツイートをさかのぼっていくと、初出(と表現するのは違うかもしれませんが)は異なるようです。

村田先生のpixivにあるプロフィールによると、ジャンプルーキー、ガンガン、ヤングアニマルなどなどで入賞経験があるとのこと。さらに単発の読切作品も発表しています。

そして本作のたたき台になったのが、マンガonウェブにて行われた第9回ネーム大賞への応募作でした。


ツイートにある通り、惜しくも入選には至らなかったものの、週刊漫画TIMESの2018年5月11・18日合併号にて新鋭祭りの第一弾として掲載されることになりました。

そして本格的に連載へと至っています。表紙になることも度々ですので、やはり人気があるのでしょう。

4月16日(火)には単行本第1巻が発売。編集部のツイートによると、アニメイト新宿でコーナーが作られ、東スポでも広告があり、即重版がかかるなど好評かつ売れ行きも好調なようです。

そんな単行本の売れ行きとはうらはらに、話中ではいろいろなトラブルの芽が出てきています。あまりネタバレするわけには行きませんが、まず貴恵、つまり白石万理華の家庭に問題があること。さらに圭介に思いを寄せる後輩のOL──もちろん10歳の女の子に生まれ変わったとは知りません──がいること。そして娘の麻衣にもいい雰囲気を感じさせる男性が現れたことです。

いずれも最大の壁になるのが10歳の奥さんです。圭介としては、再会できた最愛の妻である貴恵と一緒に暮らすことを望んでいるようですが、なにせ相手は10歳の女の子ですからね。

そう、“事案”になっちゃいます。今のところ親戚の女の子って体裁をとっていますが、それもいつまで通用するか。仮に親戚の女の子でも、抱きしめて泣きついていれば“事案”になっても不思議ではありませんし。

そうしたトラブルをどう回避して、どのような展開になるのかは分かりませんが、作者のツイートによると既にラストの構想もあるのだとか。

もちろん連載化にあたって、いろいろ盛り込んだり方向性が変わったりすることもあるでしょう。当初の構想通りに進むのか、それとも違った結末を迎えるのか。どちらにしてもハッピーエンドになることを願います。

なお単行本2巻は6月発売予定とのこと。ポーズをとっている貴恵(万理華)がコミカルです。

【作品データ】
作者:村田椰融
出版社:芳文社(「週刊漫画TIMES」連載中)
刊行状況:第1巻発売中(以下続刊)