「合コン小付」の異名は伊達じゃない!『あおざくら 防衛大学校物語』

一般的な大学とは異なる「省庁大学校(しょうちょうだいがっこう)」と呼ばれるものがあります。例えば、気象庁の職員養成を目的とした気象大学校、警察官の幹部を対象にした警察大学校などがそれにあたります。本作の舞台となる防衛大学校もまた幹部自衛官となる学生向けの大学です。

こうした省庁大学校でほぼ共通しているのは公務員として給料がもらえることです。そんな待遇に惹かれて、というか家庭の事情もあって入学したのが、本作の主人公である近藤勇美(こんどう いさみ)。高校で成績優秀だった彼は進学を希望していたものの、家があまり裕福でなかったことから先生の勧めに応じて防衛大学校に進学します。

近藤にとってはやむを得ない選択の進学だったため、防衛大学校の目的──つまり国を守る自衛官の幹部になる──の意識が希薄なことから、入学当初は同級生との考えの差異や上級生からの指摘に苦しむ場面が少なからず見られます。それでも日常生活から学校生活、果ては休日のプライベートまでいろいろ縛られる防衛大学校の毎日を通して、近藤なりに進路を定めていく雰囲気が描かれています。

それでも近藤が「小隊学生長付」略して「小付(しょうづき)」と呼ばれる役になった際には、結果的に落ち着くんだろうなあと分かっていても「これは危ないんじゃないか」と思えるほどでした。結果的に近藤には「合コン小付(ごうこんしょうづき)」なんて異名を付けられるほどになるんですけどね。

現在、単行本は11巻まで発売中。日常生活や学校生活が描かれた後、9巻からは防衛大学校で毎秋に開催される開校祭と、そこで行われる棒倒しがメインテーマになります。ここでも近藤の忙しさと棒倒しへの熱気は盛り上がる一方です。やはり漫画ですので「結局近藤のいる隊が勝つんでしょ」と思ってしまうのですが、そこに至る過程は必見です。また単行本には関係者のインタビューが併載されているので、そちらも一読して欲しいです。
なお、防衛大学校で行われる棒倒しの様子はYouTubeでもたくさん公開されています。興味のある方はぜひどうぞ。

https://www.youtube.com/watch?v=w6pNa0k1B2Q

作者の二階堂ヒカル先生は、富士見書房の「月刊コミックドラゴン」にて入賞し、講談社の「月刊マガジンZ」「月刊少年シリウス」、マッグガーデンの「月刊コミックブレイド」などで連載した後、2014年から小学館の「週刊少年サンデー」で陸上をテーマにした『ヘブンズランナーアキラ』を連載しました。


『ヘブンズランナーアキラ』が2015年に終了後、2016年から本作の連載が始まりました。本作の連載が始まって以降、作者のツイートが無いのは「取材量がハンパない」からだそうです。

少年サンデー公式サイトにあるサンデーバックステージでは、いろんな裏話を掲載しています。直近のVol.50(といっても2018年9月5日更新ですが)では、本作のオリジナルグッズやお菓子が作られて防衛大学校などで販売していることが分かります。

本作の連載開始から2年半ほど経過。「合コン小付」の異名を誇る(?)近藤は、女性を誘い過ぎたことからクリスマスのダンスパーティーを混乱しつつもやり過ごします。そして年末年始の次にに来るのは4年生の卒業。そして2年への進級です。そうした出来事に近藤達がどう向き合うのか。今後の展開を楽しみにしていきたいと思います。

【作品データ】
・作者:二階堂ヒカル
・出版社:小学館(「週刊少年サンデー」連載中)
・刊行状況:1~11巻(以下続刊)