■『聖闘士星矢』正統続編?
全5回の『聖闘士星矢』の紹介も今回が最終。『聖闘士星矢』を生み出した車田氏の描く『NEXT DIMENSION 冥王神話』を紹介します。と、その前に『聖闘士星矢』本来の続編となるはずだった『天界編』について軽く語っておきましょう。
『天界編』はハーデス編で傷ついた主人公・星矢の、その後の物語として予定されていたといいます。実際原作でも冥王編の次シリーズとして用意されていたということで、その設定だけは後に映画やその他の情報媒体を通じてファンに知らされました。しかし残念なことに物語の具体的な内容は今なお闇の中。代わりに現在は不定期の形で、車田氏の描く『NEXT DIMENSION 冥王神話』が連載されています。
■『NEXT DIMENSION 冥王神話』のストーリー
戦いの後、傷ついた星矢の命を救うために、女神とアンドロメダの聖闘士・瞬は過去の時代に飛ぶことになる。そこは前戦争のあった時代で、女神と瞬は罠にかかってしまう。星矢を救うべく、瞬はこの時代の天馬座の聖闘士と共に新たな戦いに挑む。
■『THE LOST CANVAS 冥王神話』との違い
ここに登場する天馬座の聖闘士は“テンマ”(表記に違いはあります)で、女神とハーデスの転生した人物は同一のキャラクターですが、手代木版『THE LOST CANVAS 冥王神話』に出てきた黄金聖闘士と本作の黄金聖闘士の顔ぶれは一部を除いて大きく異なっています。
現時点で登場している黄金聖闘士はそのほとんどが主人公サイドの敵に回っており、原作と同様に「かっこ悪い黄金聖闘士」も存在しています。もちろん原作者が描いているわけですから黄金聖闘士もこちらが正統なものといえるのですが、「かっこ悪い黄金聖闘士」がいるのは少し残念だという評価もインターネット上では見られます。さらに連載スパンが不定期ということもあり、ストーリーの流れを忘れがちというハンデも無視できません。オリジナルの世界観を生み出した車田氏の正統続編でありながら、ファンから全面的に支持されているわけではないようです。
■『聖闘士星矢』のこれから
『聖闘士星矢』は現在もパチンコやオモチャで展開を続けています。1986年に少年少女の心に大きな影響を与え、四半世紀が過ぎた今なおその物語は先に進んでいるのです。『聖闘士星矢』を知っている世代にも、知らなかった若い世代の人たちにも、まだまだ広がり続ける壮大な物語を楽しんでいってほしいと願います。
■作品データ
・作者 :車田正美
・出版社 :秋田書店
・刊行状況:4巻(続刊)