海外出張になった兄夫婦に頼まれて、突然5歳の女児と0歳男児の面倒を見ることになった大学生・港。「家賃タダ」に惹かれたものの、幼い子のお世話は大変!夕飯を運んでくれるお隣の女子高生・凪との交流が、彼らの生活に新しい風を吹き込んでくれます。港の先輩も登場して、育児や心理学についての豆知識を交えながらのドタバタ劇に癒されましょう♪
長女のねねちゃんの「お兄ちゃんはよーじょのけんきゅうをする人」の言葉を受けて、長らく港をロリコンだと勘違いしている凪と、朴念仁で自然な笑顔が苦手なけだるい雰囲気の港による謎の「俺らの母親になってもらえませんでしょうか」発言など、コントのような掛け合いが面白い本作。ちなみに本当は「幼児の研究をする人」です!
港は大学では心理学全般を専攻し、乳幼児研究所でバイトをしています。章タイトルから見ても「価値観の同意」や「知的リアリズム」など、子育てに役立つ豆知識がたくさん含まれていて、それを勉強が苦手な女子高生の凪にもわかりやすく、大人向けの解釈でも説明されているので理解しやすいですよ。
個人的に一番好きなのは、ねねちゃんが幼稚園に行く前に、「靴には右と左があるのに、どーして靴下にはないのー?」の答えに悩んで1時間以上遅刻する港。結局答えは出ませんが(そりゃそうだ)、彼の真面目で天然な部分がよく反映されています。凪ちゃんはツッコミ気質で、しかしオチではちゃんとボケてくれるのが可愛いですね。
後半では港の先輩も登場し、描き下ろしの番外編では若かりし頃の先輩の意外な苦悩が見られます。育児に悩むお母さんはもちろん、幼い子供とどう接したらいいかわからないお父さん、お友達など、誰が読んでも共感して「ほほーぅ」と頷ける知識も満載。子供に対してだけではなく、人間関係全般に役立つようなお話もあります。
絵のタッチが優しくて可愛いので、ねねちゃんと陸くんがとにかく超キュートです。お洋服にも注目してください!凪ちゃんも魅力的で、ぬぼーんとした港がたまに見せる笑顔も素敵。テンション高めの先輩も面白くて案外イケメンです。ヒゲだけど(笑)。1話が短くまとめられているわりには内容が濃いので、さまざまなシーンで役立つと思いますよ。
【作品データ】
・作者:NYAN
・出版社:ぶんか社
・刊行状況:全1巻