2019年春のアニメ化決定『八十亀ちゃんかんさつにっき』

漫画やアニメ、映画やドラマの舞台となった場所に注目が集まることがあります。その中には聖地巡礼として、訪れるファンで賑わうことから町おこしにつながる場合もあります。それを意図したのかは分かりませんが、最初から一つの地域にスポットを当てた作品が増えつつあります。

一迅社「月刊ComicREX」にて連載中の『八十亀ちゃんかんさつにっき』(安藤正基)は、愛知県名古屋市を舞台とした作品で、名古屋で生まれ育った女の子をヒロインとしています。

物語は、東京生まれの主人公である高校2年生の陣界斗(じん かいと)が、愛知県に引っ越して、名古屋の学校に編入するところから始まります。そこに登場するのが名古屋っ子の女子高生、八十亀最中(やとがめ もなか)です。

変わった名前のキャラクターは漫画の定番ですが、ヒロインの名字である八十亀(やとがめ)は、名古屋弁で「久しぶり」や「ご無沙汰です」を意味する「やっとかめ」から来ているようです。
小柄なヒロインは珍しくないのですけれども、動物耳のような髪型をして、それをしゃちほこ(お城のてっぺんにある魚を模したもの)飾りのついたカチューシャで留めているのはキャラづけでしょうね。もちろん口調は名古屋弁。そしてみそ煮込みや手羽先、コメダ珈琲が大好きなどの設定もバッチリです。


そんな八十亀だけでなく、名古屋の面白い物事に興味津々な陣なのですけれども、東京をライバル視する八十亀は、陣のことを「トーキョー」や「おみゃあ」(名古屋弁で「お前」「あなた」の意味)と呼んで、なかなか距離が縮まりません。もっとも陣が名古屋や八十亀を意図せずにちゃかしてしまう面もあるからなのですが。

元は愛知県一宮市出身の作者である安藤正基氏先生がTwitterに投稿した作品でしたが、ネット上での人気を受けて、2016年から「月刊ComicREX」にて連載が始まっています。基本4コマ形式で、名古屋のコーヒーにモーニングセットとしてトーストやサラダが付いてくるように、漫画に合わせた豆知識の「やとがMEMO」が付いてきます。これを読むことで、自然に名古屋に詳しくなれるのが本作のメリット?ですね。

2017年2月にはヒロインの八十亀が、名古屋市から観光文化交流特命大使に任命。さらに2019年春からテレビ愛知などでアニメ放送が決定しました。


これを書いている私も、名古屋ではありませんが愛知県の出身です。東京、大阪の二大都市に挟まれた名古屋ですが「八十亀ちゃんかんさつにっき」とともに、もっと注目が集まればなあと思います。

【作品データ】
作者:安藤正基
出版社:一迅社(月刊ComicREX連載中)
刊行状況:1〜5巻(以下続刊)