少年誌史上で屈指の“女々しい”主人公達『メメシス』

最凶最悪の大魔王が降臨した世界。魔王とその手下である魔物達に多くの人々は苦しんでいた。そんな人々に一筋の光明が射しこんだ。それは勇者レオンの登場だった。極悪非道な魔物達を次々に退治していくレオンの活躍に、世界中の人々は喝采を送って信じた。「勇者レオンであれば、必ず魔王を倒して世界に平和をもたらしてくれるはず!」と──。

小学館「週刊少年サンデー」で好評連載中の『メメシス』は、そんな勇者レオンの活躍をあますところなく描いた物語……などでは全然なくて、“レオンのパーティーをクビになった戦士2人”の、勇ましくも女々しいさまを描いた作品なのです。

作者である柳生卓哉先生。ご自身のツイッターによると、2014年に集英社「ジャンプS.Q.」の新人賞にて佳作を受賞しています。

その後、「ジャンプS.Q.」にて読み切り作品を何本か掲載した後、2016年に小学館「少年サンデーS」に読み切りを掲載。

そして2018年2月から本作の連載が始まっています。

下記の写真の単行本1巻、左に描かれているのが知性系主人公のアシュー。右にいるのがパワー系主人公のキジラです。

勇者レオンのパーティーに加わっていた2人ですが、レオンにズバズバと欠点を指摘された上、女性メンバーとの交代を言い渡されてしまいます。要するにクビです。しかしながら、この2人も十分に強いんですよ。並みの魔物であれば、問題無く片付けてしまうくらいの実力は持っています。ただし、レオンはそれ以上に強いってことです。

パーティーの仲間だった時には、憧れの勇者レオンを挟んで何かといがみ合っていた2人ですが、同時にクビとなり、その後は一緒に旅する中で、魔物の一部に「キッショ(気色悪い)」を言われるほどに仲良くなっています。それもこれもレオンを見返してやろうと思う一心なのですが、レオンに追いつき認められるには、まだまだ遠いようです。

その後、旅の途中で天然系パワーキャラの女戦士であるローズが仲間に加わります。

実は、アシューとキジラの代わりにレオンの新しい仲間になったのが、ローズのかつての仲間だったとか。つまりローズは、アシューとキジラに似た状況なんですね。けれども、ローズがあっさり気持ちを切り替えているのに対して、アシューとキジラは延々と引きずっています。ローズに「女々しい」と指摘されて大きく傷つく2人は、ある意味で壮観です。

活躍を続ける2人ですが、再度レオンにフラれたことで、新たなる大技「ブラッシュバックブレイク(追憶の一撃)」を会得し、ますます強くなります。また、勇者レオンには及ばないものの、2人の活躍が人々の間で話題にもなっています。

魔物や魔王軍の幹部を倒していくアシューとキジラ、そして勇者レオンは魔王討伐への道を目指すのですが、果たしてすんなり魔王を倒すことができるのか、そしてアシューとキジラとレオンの関係はどうなるのか。今後の展開が楽しみな作品です。

なお、自身はスレンダーキャラのローズですが、無いものねだりと言うわけではないものの、巨乳好きの趣味を持ち合わせており、それに合わせたかのような女性キャラも登場。もちろんサービスシーンがもれなくついていることを付け加えておきます。どうぞお楽しみください。

【作品データ】
作者:柳生卓哉
出版社:小学館(週刊少年サンデー連載中)
刊行状況:1~2巻(以下続刊)