愛こそエネルギー!たとえ足を引っ張っても『恋愛戦士シュラバン』

桃太郎からスーパーマンまで、古今東西ヒーロー物語には一定の人気があります。そうしたヒーロー物語で王道を目指しながらも、異色の展開になりつつある作品が、KADOKAWA「少年エース」で連載中の『恋愛戦士シュラバン』(青木ハヤト)です。


舞台は近未来(現代かも?)の日本。無限のエネルギーを生み出す「イリオスダイト」が発見されたことで、多くの悪の組織がそれを狙って、陰に陽にと活動を起こしています。もちろん正義の味方も負けてはいません。平和維持機構イリオスに所属する正義の戦士達が、悪の組織の壊滅を目指して戦っています。

主人公であるシュラバンは、イリオスに所属する新米ヒーローの1人。普段はどこにでもいる青年、針水誠(はりす まこと)として日常生活を送り、いざ有事には「神着!(しんちゃく)」と叫んで、自称“愛の戦士シュラバン”に変身し、「修羅場超えるぜ!」の言葉とともに敵に向かっていきます。

ここまでならまぁ王道のヒーロー譚なのですが、ストーリー冒頭で悪の組織のボスを父親とする女の子から告白され、続いて危機から救った先輩女戦士からも惚れられ、さらにイリオスの少女型ロボットに何かと引っ張りまわされ、その上イリオス最強のギャル戦士にもお誘いをかけられます。こうなるとさすがに修羅場は必死ですよね。

ただ、シュラバン自身は1人のヒーローとして実力をつけつつあります。当初は下っ端怪人にも苦戦する程度の力量だったのですが、悪の組織と関わったことでパワーアップしてしまい、精神的にもタフになりつつあります。もっとも、女性関係のゴタゴタだけは、どうにもならないんですけどね。現在、単行本は第2巻まで発売中。


1巻の表紙(ツイート左)はヒーローものの王道です。もちろん表紙の右側にいるのが主人公の針水誠、女の子は悪の組織の首領を父親とし、誠に告白した出須ヘレーネ(です へれーね)です。2人の後ろに描かれているのは、誠が変身する愛の戦士シュラバンです。いやー、格好いいですね。まさにヒーロー大活躍です。
しかし2巻の表紙は、こう(ツイート右上)なっちゃいました。


右側はシュラバンが助けた先輩女戦士のプリュギア、左側は少女型ロボットのアルテミスです。もはや背景と化しているシュラバンですが、一応主人公なんですよね。ドッロドロな女性関係の先行きが感じられる構成です。仲間である正義の味方達はもとより、敵対する悪の組織からも一目置かれるようになったシュラバン。女性関係のゴタゴタを解きほぐしつつ、今後もヒーローとしての活躍を期待したいですね。

【作品データ】
作者:青木ハヤト
出版社:KADOKAWA(少年エース連載中)
刊行状況:1~2巻(以下続刊)