怖いけど面白い?!『鳥肌通信』は怪談が苦手でも楽しめる実話4コマ!

ホラーとか怪談という系統の話は、好き嫌いがハッキリしているジャンルのように思う。とは言え、多くはフィクションであり、実話をベースにしたものでもかなりの脚色がされていたりして、その辺りで「どうせ嘘でしょ」と嫌悪する人と「想像するだけで怖い!」という人に分かれたりする。想像力を働かせると、とても面白いジャンルではあるが、そのせいで眠れなくなる人もいたりするという、案外ナイーブな分野でもあるのが興味深い。

ホラー漫画家である外薗昌也氏が、軽い気持ちで始めたのがこの『鳥肌通信』の連載だった。仕事柄、多くの恐怖体験を取材する中で、なかなか「本物」に出会うことがないことはよく知っている。そのためか、外薗氏はハッキリと自分が「心理現象否定派」であることも明言済み。だからこそ、本当に霊感がある人に「これだけは絶対にしないでください!」と強く言われたことを平然と破ったり、「視える」タイプの人に「これ以上はやめましょう」と言われても、恐怖スポットに足を踏み入れたりできるのだろう。それをコミカルに4コマで描いたのが本書である。

冒頭は、自称霊能者などは結構怪しいが、普通に社会人として暮らしている人が実は「よく視ますよ。アハハー」などとあっけらかんとしているので、人は見かけによらないという「違う意味で恐怖」のようなものから始まる。有名な心霊スポットを巡ったり、SNSで情報を集めて4コマにしようという、とても安易なノリで始めてみた連載だったので、導入としては気軽に入っていける。

しかし氏は根っからの商人気質なのか、サービス精神と好奇心が旺盛なのか、「何かが起こらないと話にならない」というスタンスなのだ。仕事絡みのお付き合いなどもあり、友人知人はホラーや怪談に詳しい人や、「霊視」までできるレベルのモノホン漫画家さんなども多い。さまざまな人と交流し、新たな出会いなども経ながら、心霊スポット巡りから始まって、氏の作品の舞台化や映画化まで持ち上がる。ここに至るご利益の話も面白いので、実際に読んでみて欲しい。

これまでに漫画や小説だけでなく、心霊写真の本まで出版している外薗氏だが、本人は心霊現象をまったく信じておらず、霊感もないのに、関わる人には必ず何かが起きるというから、これ以上のネタはない。もちろん実話であるため、生きているから笑い話にできるものの、結構影響力は大きそうだ。なにしろ読者からまで著書を読んだ後に起きたという「後日譚」が寄せられるほどなのだから。

が、初めて4コマに挑戦したという外薗氏は、長編にはないコミカルさで実際に起きた怖いはずの話を、ちょっと笑えるような雰囲気に仕上げている。不思議現象がたくさん起きて、時には怪我人まで出るような実話集なのだが、ホラーとか怪談というジャンルでくくってしまうにはもったいないような、多岐に渡る読者層の心を掴むような作品になっている。

インタビューとちょっとした情報もまとめられており、興味があれば紹介されたスポットにも行けるし、外薗氏のリアルな話も垣間見える。怖いと思わなければ、意外に相性が良かったりもする場所もあるようなので、まずは肝試しの前段階として読んでみてはいかがだろうか?

【作品データ】
・作者:外薗昌也
・出版社:ラボラトリー・エイト
・刊行状況:全1巻