アラサーOLの成長譚4コマ『高尾の天狗と脱・ハイヒール』

恋人にフラれた人間がとる行動は様々です。ヤケ酒をあおったり、ヤケ食いしたりと暴飲暴食に走る場合もあれば、大泣きしたり激怒したりする人もいるでしょう。また、気分転換に旅行に出かける人もいそうですし、逆にショックで何も手につかないなんてことがあるかもしれません。

結婚を前提に付き合っていた恋人からフラれた勢いで高尾山に登ってしまったのが、今回紹介したい竹書房「まんがくらぶ」に連載していた4コマ漫画『高尾の天狗と脱・ハイヒール』の主人公である御岳ノリコ(みたけ のりこ)です。


もっとも、勢いがありすぎて会社の制服、普通のハンドバッグ、かかと10センチのハイヒールという服装で高尾山に来てしまったのは無謀の一言。ただし、最後には裸足になってまで登頂を成し遂げるところは、根性があると言えなくもないですね。その後も何となく高尾山に登るようになった彼女は、登山靴やポール、リュックサック、レインコートなどの登山用グッズをそろえて行きます。そう、タイトルの「脱・ハイヒール」に至るワケです。

そうなると、タイトルの前半「高尾の天狗」も気になりますよね。

最初にノリコが高尾山に登った際、あまりに無謀な登山姿だったことから、子天狗の聖(ひじり)がノリコの手助けをします。普通の人間であるノリコと天狗がコンタクトできるのは稀なのですが、その辺りは大きな失恋をしたノリコのメンタル面の影響があったとしています。その後に烏天狗の幽山(ゆうざん)、くれは、狛丸と言った他の天狗達とも仲良くなることで、ノリコの高尾山への興味が増して行くのは無理からぬことでしょう。

そんな登山ド素人のノリコを主人公に据えたことで、本作は高尾山や登山初心者に対する入門書にもなっています。また2013年8月から始まった連載が長期に渡って続いたことで、春の火渡り祭、夏のビアマウント、秋の紅葉、冬のダイヤモンド富士と、年間を通して高尾山近辺のイベントを紹介したガイドブックも兼ねるようになりました。

最初で「連載していた」と書いたように、本作は先日の2018年10月4日(木)発行の「まんがくらぶ11月号」にて最終回を迎えました。いろいろと高尾山を経験してきたノリコが、自分自身でも無理と言いきっていた陣馬山から高尾山までの縦走を達成するのですが、ラストの感動的な数ページは見ものです。

さて、とうとう完結してしまった本作ですが、単行本の紹介ページには「新シリーズもお楽しみに!!」とありますし、作者である氷堂リョージさんはツイッターにて、「そして(高尾の?)『新シリーズ』もお楽しみに!!しばしお休みをいただきますー」とつぶやいています。

本作に登場する他のキャラが主人公になるのでしょうか。それとも全く新しいキャラが登場するのか。もしくは高尾山ではなくなるのか。新作を楽しみに待ちたいと思います。

【作品データ】
作者:氷堂リョージ
出版社:竹書房
刊行状況:1~3巻(完結第4巻は今冬発売予定)