痛快無比!気合いと根性が炸裂する格闘バトルロマン『押忍!!空手部』

主人公の高木義志は、大阪でも有名な不良高校で空手部の主将を務める猛者。腕っぷしが強くコテコテな大阪弁、ソリコミの入った髪型というヤンキーのお手本だが、正義感が強い、涙もろい、女性には決して手をあげない……など、いかにも昭和的な”頼れる男”だったりもする。

そんな彼を周囲の者たちは慕うが、ヤンキー同士の勢力争いなどを解決していくうち、敵対する相手が地元の不良→西日本の不良→東京の不良→首都圏すべての不良とエスカレート。ついに高木と仲間たちは、ヤクザや国家権力まで絡んだ巨大な陰謀に巻き込まれていく。

だが、誰が相手でも高木の戦い方は変わらない。頼るのは鍛え抜いたおのれの拳、仲間との絆、そして「ド根性」。何度倒されても根性で立ち上がり、敵の勢いを失わせ、体の奥底から限界を超えたパワーを引っ張り出して大逆転するのだ。

ここユニークなのは作品名にある空手だけでなく、ストーリー進展にあわせて高木が次々と新しい格闘術を猛特訓で身につけていくところ。「太極拳」「発勁」など実在のものから、「神極拳」「龍天昇」といった作者オリジナルの必殺拳法までさまざま。

格闘シーンは1対1、集団対集団の殴り合いメインだが、潜在能力を開放して何倍にもパワーアップしたり、体内エネルギーの「気勢」をお互いにぶつけ合ったりするなど、まるで『ドラゴンボール』のようなバトル描写もあって迫力満点。敵側もさまざまな拳法、ときには拳銃や権力をも使って高木を追い詰めていき、最後までハラハラしながら読むことができる。

青年誌(ヤングジャンプ)連載作品なので流血・残酷シーンがやや多めなところ、長期化に伴って後付設定や矛盾点がちらほら見られるところ、強さのインフレが激しいところなど、欠点と呼べるところもある。しかし『キン肉マン』『男塾』シリーズと同じで、圧倒的な勢いが、マイナスを帳消しにするどころかプラスに変えてしまうタイプの作品と言えるだろう。

ジャンプ漫画の王道「努力・友情・勝利」に加え、どんな絶望的シチュエーションも「根性」で乗り越えてしまう本作は、まさにカタルシスの塊。特にコミックス16~28巻(東京編・関東編)までは絵柄・ストーリー・勢いが最高潮に達していて、すべての格闘漫画の中でもトップクラスにおもしろいと太鼓判を押したい。

頭からっぽにして楽しめるエンタメ要素を求めている人はもちろん、根性論が全盛だった昭和時代を体感したい平成世代の人たちにも、間違いなくぴったりハマる痛快娯楽作品である。

【作品データ】
作者:高橋幸慈
出版社:A-WAGON
刊行状況:全43巻(完結)

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