アニメも好評! 定番ジャンルを進化させた『魔法少女 俺』

日本の漫画、アニメでメジャーなジャンルに成長した“魔法少女”モノ。1960年代の『魔法使いサリー』を始祖とし、半世紀にわたり多くの作品が少女たちファンを魅了してきた。そして近年、魔法少女ジャンルの進化がまた新しいステージへ差しかかろうとしている。その代表例といえる漫画が、ギャグとラブコメ、ファンタジーを融合した『魔法少女 俺』だ。

恋する15歳のアイドル・卯野 さきがひょんなことから魔法少女に変身する力を手に入れ、人の世をおびやかす妖魔と戦っていくというのが基本ストーリー。一見すると王道の物語だが、なんと可憐な少女が変身した姿は「ムキムキのマッチョ男」。戦う手段は魔法など関係なく「物理攻撃」、かわいいはずのマスコットキャラはどう見ても「ヤクザのおっさん」……魔法少女のイメージを根底からひっくり返すラジカルな作品になっている。

だがこの意外性が評判を呼び、2018年春にTVアニメ化。こちらもファンから高い支持を得た。

本作に限らず意表をついた魔法少女漫画は、たとえば「魔法少女なのにボディビルダー」「魔法少女なのに関節技の達人」「魔法少女なのに虐殺魔」などなど、とんでもない設定の作品が次々に誕生中だ。かつて女児たちの独占物であった魔法少女ジャンルは、いまや大人の漫画・アニメファンの多彩な嗜好までも反映するようになった。

思い返せば北米をはじめ世界中でヒットした『美少女戦士セーラームーン』も、変身する魔法少女とバトルを融合させた(1990年代としては)先進的な作品だった。今なお新しく生まれ続けている“多様化した魔法少女”作品のどれかが海を渡り、やがてまた多くのファンを楽しませてくれるようになるかもしれない。

【作品データ】
・作者:毛魂一直線
・出版社:ふゅーじょんぷろだくと
・刊行状況:全2巻(完結)