狩猟免許を持つ作者による実録ハンティング漫画『山賊ダイアリー』。以前にレビュー記事を書いたが、今回はその続編となる新作『山賊ダイアリーSS』を紹介したい。なおSSが何を意味するのかは作者もブログ内で「知らない」と答えており謎だが、おそらく“Second Season”の略だろうか。
主人公は引き続き作者自身で、時系列的に『山賊ダイアリー』の後となっている。絵柄は良くも悪くも変わっていないが、作品コンセプトには大きな変化が見られた。罠や猟銃を使った山中での狩猟という枠を超え、より広い世界へ飛び出していくのが『SS』である。
第1巻には「モリを使った素潜り魚獲り」「親族から紹介された小屋(廃棄)をベースにしたキャンプ」など、これまたユニークなサバイバル生活を収録。
・モリで突いて獲った魚を浜辺でそのまま料理
・海へ遊びに来ていた人たちとの交流
といった比較的まとも(?)なエピソードから、
・スリングショット(パチンコ)を使って野鳥を狙撃
・鯛の体内にいた寄生虫をそのまま焼いて食べる
・水が手に入らないので自分の尿を飲む
……などなど、読者がドン引きしかねないところまで丁寧に描かれている。
手持ちのパラシュートコード(頑丈な軍用ロープ)で即席のはしごを作成したり、そこらへんで拾った廃材を活用して海水の蒸留装置を仕立てあげたり、道具にこだわらなくなった分だけ前作よりも多彩なサバイバルスキルが紹介されていて、飽きることがない。
どれだけディープな世界かは、ヤングマガジン公式サイトで無料公開されている試し読みページを読めば伝わってくるはず。テーマ的に実写映えする作品だと思うので、もっと人気が出てドキュメンタリー調のドラマにでもなってくれないか密かに期待している。
【作品データ】
・作者:岡本健太郎
・出版社:講談社
・刊行状況:1巻まで(続刊)