『僕の自殺計画』を阻止したのは!? 誰かのために生きることとは?

180718 僕の自殺計画・1巻書影中二の時から不登校で、間もなく高校受験を迎える零(ぜろ)。母親の実家に帰って来た日、「今日ここで死ぬ」と決めていたところ、突然現れた少女に紐を木にくくりつけるのを邪魔される。それは幼い頃、地元のガキ大将だった“ルカ姉”なのだが──?

「久しぶり!」と相変わらず親しげに話しかけてくれたルカに、零は中一の頃からいじめが始まり、それがエスカレートしてきたことを告げる。登校しようとすると気持ち悪くなったり腹痛やパニックに襲われるのに、親からは「体裁が悪いから学校に行け」と言われる毎日。

耐えられなくなった零は「今日」を死ぬ日にしていたのだが、ルカと出会ったことで計画を止められ、自殺はいけないと説教をされる始末。ルカにまでもわかってもらえないと感じた零は「いじめられたこともないルカ姉にはわからない!」と暴言を吐いて背を向け走り去った。ところが祖母の家に帰って「ルカ姉と会っていた」と言うと、なぜか怪訝な顔をされて──?

180718-僕の自殺計画・1巻P9

短い物語ではあるのだが、非常によくまとまっており、零の弱さや本当の強さ、笑顔を絶やさないルカの本音の部分など、しっかり噛み締めつつもテンポよく読み進められる。

ルカのセリフにある「遠回りした人生を『逃げてるからダメ』っていう人がいるけれど、それはちゃんと『逃げる』っていう『道』を選んでるんだよ」というのが、彼女のような立場の登場人物の口から出てくるのが非常に重い。いじめられる零の経験も生々しく、それに対応する親や社会もまさしく今の現実なので、実際にいじめを経験した人が読んでも、リアリティに遜色はないはずだ。だからこそ、余計に零の自殺を止めるルカの存在が引き立つとも言えよう。

ジャンル的にまとめるなら、ホラー的な要素を持った人情もの……という感じだろうか。恋愛ものではないが、お互いがいなければ成り立たない関係性があり、ルカのおかげでやがて零は歩みを進めようと心に決める。それが将来、ほかの誰かの救いとなり、それがまた……と続いていくように、いつかルカの存在意義になればいいのではないだろうか。

『番外編』で描かれる10年後の零を見れば、たとえいじめに遭おうとも、遠回りをしようとも、この世に生きるという意味を見出す読者もいるはずだ。そんな救済を感じられる作品をぜひ読んでみてほしい。一見つながりは見えなくても、人は一人で生きていくのではないと、心底思わされた。

【作品データ】
・作者:飛水
・出版社:A-WAGON
・刊行状況:第1話・番外編

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