リアル猟師が描く究極の“実学”漫画『山賊ダイアリー』

日本の漫画ジャンルはとても幅が広く、『NARUTO』『ドラゴンボール』のように世界中でヒットする王道バトル系もあれば、その対極に“実学系”と呼べるジャンルもある。獣医、畜産、受験勉強や投資――その道のプロが自分の知識や経験をコミカライズし、一般層にわかりやすく紹介しようというわけだ。

今回はそんな実学系から、猟師を兼業する漫画家・岡本健太郎氏の描いた『山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記』を紹介したい。

幼いころから猟師に憧れていた主人公(作者)。やがて青年になった彼は東京を離れて故郷の岡山県へ戻り、夢を実現するため狩猟免許と空気銃を入手する。そんな新米ハンターによる狩猟記録がリアルに描かれた作品だ。

「カラス食べたことありますか?」という衝撃的な第1巻のキャッチフレーズ通り、狩猟→解体→調理して食べるまでがエピソードのワンセット。さまざまな動物の生態、銃やワナの知識、解体の様子まで丁寧に描かれていて、スーパーで肉を買っている読者には驚きの連続である。淡々と猟師の日常を語っているだけなのに、まったく読んでいて飽きが来ない。

主人公を含めて作中のキャラクターが殺生を自慢する描写は一切なく、きちんと法令を守りながら“生きている命をいただく感謝の気持ち”を忘れていないところも好感が持てる。

ややクセがある絵柄ながら読者から支持を得て、コミックスは全7巻で終了。その後、さらにパワーアップした続編『山賊ダイアリーSS』を連載開始したほか、女子高生のサバイバル物語『ソウナンですか?』原作を手がけるなど、今なお“リアル猟師”の創作活動は終わらない。

特にアウトドアに興味がなくとも、いざという時に役立つサバイバル知識を身につけておいて損はない。狩猟した獲物の殺生シーンにさえ耐えられる人なら、広くおすすめしたい作品だ。

【作品データ】
・作者:岡本健太郎
・出版社:講談社
・刊行状況:全7巻(続編あり)