『僕は花になりたい』は、“彼”から逃げた不器用な少年の祈りか?!

180704 僕は花になりたい・1巻書影とある田舎の農業高校に、東京から転校してきた仰(あおぐ)。同じ高校に通う先輩後輩が入り混じった下宿寮では、もともと整った顔立ちで小柄な仰を「芸能人みたい」「本当に男?」と、なんだかんだ世話を焼いてくれて、心の中に重いものを抱えた仰をオープンに迎え入れてくれた。ただ1人、そのメンツの中で浮いている黒井以外は──。

仰が東京からわざわざド田舎にまで引っ込んだのは、もちろん理由があった。仰に依存しすぎる母親や、「翔(かける)」という同級生から逃げたかったのだ。海外赴任中の父親とはほとんど顔を合わせたことはないが、まぁ浮気していると見ていいだろう。母親もきっと気付いているはずなのに、仰の世話を焼くことで自分をごまかしてきたのか、寮にもしょっちゅう電話をかけてくるなど、長い間仰に依存してきた様子がうかがえる。わかっているからこそ母親に辛く当たれずに、仰は自分の中で不完全燃焼を起こしてしまうのだ。

せっかく逃げてきたのに、このままではこれまでと変わらない。かつての自分とも決別したい仰は、不器用ながらも友人との付き合い方から変えようとする。どうしたら自然に見えるか、おかしいと思われないかと気を遣いながら……。そこで後輩の杉本がなんとなく仰の面倒を見るような感じになってきて、「友達」みたいな関係っていいな、と仰は感じ始めた。

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時折入る回想シーンを見ると、翔と仰の関係がただの友人ではなかったことは想像できる。2人の間には多分身体の関係があり、翔が夢に出てくると夢精してしまうことさえある仰。果たして仰の過去に何があって、彼は何に縛られているのだろうか?そして杉本は仰に何を感じているのか。翔に似ている黒井はどうして仰にキツく当たるのか。翔は今どうしているのか──?

BL臭を漂わせつつも、仰は女子からも人気者で、一般的には男子からの好感度は高いものの、特に性的に意識されているわけでもなさそうだ。しかしジャンル分けするならやはり「BL」カテゴリなので、男同士特有のヤキモキ感があり、腐女子を惹きつけるものがある。読者目線で言えば、「リアル翔、はよ!」という気持ちだ。個人的には杉本がイケメンで性格も良くて好き(笑)。

【作品データ】
・作者:六格レンチ
・出版社:ブライト出版
・刊行状況:1〜13話(以下続刊)

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