福本伸行の傑作ギャンブル漫画『天』の実写ドラマ化が決定!

『カイジ』『アカギ』を筆頭に、“男たちの真剣勝負”を描き続けてきた鬼才・福本伸行。その出世作ともいえる『天 天和通りの快男児』のドラマ化が発表され、さっそくネット上は歓迎ムード一色に包まれている。主演は岸谷五朗。テレビ東京で今秋からスタートし、BSジャパンや動画配信サービスでも見ることができる予定だ。

『天』は並外れた技量と勝負強さをもつ麻雀打ち・天 貴史を中心に、個性的な強豪たちが闘牌を繰り広げる本格ギャンブル漫画。1989~2002年まで連載され、全18巻で完結している。

通常ルールの麻雀はもちろん、特定の役を上がらなければ勝てない「クリア麻雀」、相手のテンパイを看破しなければいけない「二人麻雀」など変則ルールの勝負も次々と登場し、その斬新な発想は読者の目を釘付けにした。また、のちに福本漫画の一大スターとなった『アカギ』の主人公・赤木しげるも、元はといえばこの『天』に出てきた敵キャラだった。

ほかにも特徴として、福本氏の作風が明確に変わったターニングポイントだった点が挙げられる。

それまでは人情モノをメインに描く作家で、本作も連載スタート時点ではドラマ色が濃かった。ところが上述した赤木しげるが登場したあたりから作風を転換、とことん敵の手牌を読み尽くし、その裏をかく――今のファンがよく知っている“ギャンブル漫画家としての福本伸行”に脱皮したのだ。

さらに、物語終盤には天ではなく赤木が主役級の扱いとなり、彼の死生観(生き様・死に様)が徹底的に語られるなど、なにからなにまで型破りな個性づくしの一作だと言える。

専門誌「近代麻雀ゴールド」での連載だったこともあり、麻雀ルールを知らないと読むのがきつい面はたしかにある。だが最低限そこだけクリアしていればぐいぐい引き込まれることだろう。福本作品のヒリつく勝負シーンが好きな人なら必ずチェックしておきたい傑作だけに、実写版の出来映えにも期待感が高まる。