だからこそ、生きてほしい『CIPHER-サイファ-』

Cipher (12) (花とゆめCOMICS) 【あらすじ】
元気印の少女・アニスは、双子の全米スターの片割れ・シヴァに「友達になりたい宣言」をする。シヴァの額にあるビンディと、自分の額にあるホクロ――その印はカインの罪の証か、神の慈愛か。アニスはやがて、シヴァとその弟・サイファの重大な秘密を知ることになる。
「友達ってのは人間に対する最高の尊称だ」
荒んだ心を抱えた双子に、真っ直ぐで曇りのないアニスが挑戦状を叩きつける!
果たしてアニスの想いは届くのか?

【みどころ】
1985年から1990年まで月刊LaLa(白泉社)で連載されていた、少女漫画界の巨匠・成田美名子さんの代表作の1つです。当時、少年少女がこぞって夢中になったと聞きます。
けれど、私がこの漫画を読んだのは、創刊から実に20年も経ってからでした。古本屋で綺麗な絵の文庫本を見つけて、面白そうだと全巻大人買いしたのを憶えています。
どんなものにも言えることですが、名作と呼べるものはその世界観に浸りたくなるものですね。
では、その作品のように生きたいと思うものは、なんと呼べばいいのでしょうか。
主人公に夢を馳せるのでも、登場人物のように生きたいのでもなく、この作品のように自分の人生を泥臭く生きていたいと思うのです。N.Y.を舞台に描かれたこの青春ストーリーは、どこか自身のストーリーのようで、作品の“終わり”を感じません。
この作品に込められた「生きること」に対する作者の想いはきっと、天国にいるファンにも届いたと私は信じます。

1989年に発売されたOVA『CIPHER THE VIDEO』は、世界観にこだわり、会話は全て英語(日本語字幕)で展開されます。けれど驚きはそれだけではありません。このアニメになんと! サッカー実況でお馴染みの、川平慈英さんがサイファの声で登場します。思わず時代を感じた瞬間でした。
この漫画には、1980年代のアメリカ、そしてきっとその時代の日本が散りばめられているのだと思います。けれど今読んでもまったく古い気がしない、それが成田マジックなのでしょう。

――ここに、あなたのふるさとがある。あなたの魂の同胞が、ここにいる。きっと、一生大事にして、時おり読み返す一冊になる。(文庫版1巻解説より)
作家・久美沙織さんのお言葉です。
あなたにとっても、そんな一冊になりますように。

→関連:『ALEXANDRITE―アレクサンドライト―』

【作品データ】
・作者:成田美名子
・出版社 :白泉社
・刊行状況:全12巻(完結)

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