あのサスペンスの“裏側”を暴いたギャグ漫画『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』

5月21日は「探偵の日」ということで、探偵にちなんだ最近の話題作をレビューしたい。1992年から連載開始し、日本を代表する“名探偵”シリーズとなった『金田一少年の事件簿』――そのオフィシャル外伝となる『犯人たちの事件簿』だ。

原作は凄惨な殺人事件、そして金田一耕助の孫という主人公・金田一一(きんだいち はじめ)の名推理が冴え渡るサスペンスだったが、外伝はギャグ漫画に分類される。実際に『金田一少年の事件簿』で起きた殺人事件を題材に、それを犯人視点から見たものとなっている。

たとえば1つの事件を例にとってみよう。

犯人はあらかじめ周到な計画を練り、

・殺人の舞台となるホテルに変装して泊まり、細工を済ませる
・後日、変装なしでホテルに知人たちと訪れる
・仕込んでおいた細工を駆使しながら殺人を実行
・なにくわぬ顔で「殺人鬼に怯える一般人」を演じる
・それ以降も複雑なトリックを駆使して、人知れず連続殺人をしていく

などなど、たった1人で縦横無尽に駆け回る。

これだけでも大変な重労働なのだが、現場にたまたま「名探偵の孫」がいることが発覚したり、おまけに「休暇中の刑事」が泊まっているとわかったり、予想外のアクシデントが次々に発生。

それでも頭を抱えながら計画を修正してターゲットを殺していくが、結局は金田一少年の名推理によって真犯人だとバレてしまい、原作エピソード通りのラストに収束する。

原作では金田一少年の推理を見ながら「なんて周到なトリックなんだ!」と驚いていた読者も、この外伝で犯人サイドの事情を知れば「意外に苦労してたんだなぁ……」と、また違った楽しみ方ができるのではないだろうか。

いちおう外伝というポジションではあるが、犯人視点から事件の進行が丁寧に描かれているため、原作を知っていなくても十分楽しめる。難点があるとすれば、こっちを先に読んでしまうと結末が分かっている上、シリアスシーンでもつい吹き出してしまうところだろうか。

作品の性質上いくらか死体描写は出てくるが、スプラッターな雰囲気は抑えられていて、誰でも楽しく読むことができるはずだ。

【作品データ】
原作:天樹征丸・金成陽三郎、さとうふみや
作画:船津紳平
出版社:講談社
刊行状況:2巻まで(続刊)