ボディビルダーの真髄(?)に迫る異色作『マッチョグルメ』

ネット通販でプロテインの売上が伸び、全国あちこちにトレーニングジムが増えている現在、日本にもフィットネスブームが到来しつつあるのかもしれない。トレンドに敏感な漫画界にも“筋肉”をテーマにした作品が次々と生まれてきた。今回はその1つ、ネットでも話題となった異色のグルメ作『マッチョグルメ』を紹介したい。

主人公は天王寺 美貴久というボディビルダー。剃り上げた頭髪に精悍な顔つき、「筋肉の化身=マッスルリバース」とも評される巨大な筋肉美は他の追随を許さず、しかも人格者という理想のマッチョマンだ。彼にはグルメな一面もあり、チートデイ(定期的に高カロリーを摂取することでダイエット効果を上げるフィットネス用語)には節制を解いて存分に好きな食べ物を楽しむ。そんな天王寺のグルメな日々をまとめた一冊である。

チートデイに注文する料理はビーフカツレツ定食、豚肉つけ汁うどんなど高炭水化物・高カロリーなものばかり。それを心の底から感謝し満喫することで精神が満たされ、結果として彼の筋肉はさらなるパワーを得られるのだ。

そんな気高い精神は周囲の人間にも伝播する。節制に失敗して低迷するボクサー、貧しさのため好きなお菓子を買えない少年たちが、天王寺の生き方を見ることで救われていくという人情ドラマ部分もおもしろい。

全1巻のなかでストーリーの起承転結がはっきりしており、暑苦しい筋肉のページばかりであるにもかかわらず読後感は爽やか。「ボディビルダーってスポーツもしないのに筋肉つけてどうするの?」と日頃から疑問に思っている人は、ぜひこの作品で“鍛えることの真髄”に触れていただきたい。

【作品データ】
作者:成田成哲
出版社:集英社
刊行状況:全1巻(完結)