猟奇的な魅力の『殺彼ーサツカレー』が商業誌で連載!

【あらすじ】
DV男・桐生優太は、恋人の女性を暴力で従えて悠々自適な生活を送っていた。しかしある日、優太は行き過ぎた暴力で初めて女性を殺してしまう。これまで暴力を振るうことはあっても、人を殺したことはなかった優太が、はじめての殺人に動揺しているところに、「まつもとぢるち」と名乗る男がやってくる。優太の犯行の一部始終を見ていたぢるちから、「オレがこのコ殺したコトにして片付けてあげる」と言われた優太は、殺人の隠蔽に協力してもらう代わりに、恐ろしい殺人鬼達の世界へと引きずりこまれていく。

【みどころ】
2017年8月に連載が始まり、2018年3月にコミックス第1巻が発売したばかりの作品だが、元は夢漫画形式の創作同人誌である。連載前は固定の主人公がおらず、読者は様々な殺人鬼達に弄ばれ殺されていく彼女の視点に立って、物語を楽しむという新感覚の漫画だった。

このたびの連載にあたり、殺人鬼のうちの一人、DV男の優太が主役に抜擢された。優太は個性的な殺人鬼たちの中では、比較的まともな部類に入るキャラクターである。DV男ではあるが、他のキャラクターと比べると異常性が低い。だからこそ、読者は彼に共感できるのだと思う。

同人誌から入った身としては、数あるキャラクターの魅力を連載の形で表現できるのかという不安もあった。しかし優太が主人公になったことで、猟奇的でバイオレンスな魅力を残しつつ、新たにサスペンスホラーとしての魅力が生まれたように思う。

殺人鬼の一人でありながら一般人の感覚を持ち合わせ、渦中に巻き込まれていく優太の今後が、まだまだ気になる一冊である。

【作品データ】
・作者:大介+旭
・出版社:新潮社
・刊行状況:1巻(以下続刊)